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アーモンドのお話

「シチリア」と言って思い浮かぶものと聞いて

「アーモンド」

と答える人がいたら、それは相当なシチリアマニアか、はたまたドルチェマニアか。

アーモンドと言えば日本ではカルフォルニア産のものが多く販売されていて、シチリア産アーモンドはいくつかの製菓材料ショップに影を潜めるくらいだ。それはマイナーだから、ではなく、貴重品でありそして高価だから、である。シチリア産アーモンドはカルフォルニア産のものに比べると圧倒的に生産量が少なく、国外に輸出されている量も僅かであろう。イタリア国内で販売する際にもわざわざ「シチリア産アーモンド」とかかれて販売されている。それくらい貴重なものなのだ。

シチリア全域にアーモンドの木は植わっているが、中でも有名なのはシラクーサ県のアヴォラを中心とした地域である。アヴォラと言えばNero d'avola(ネーロ ダヴォラ)、、、そう、シチリアを代表する黒ブドウ、ネーロ ダヴォラの原産地でもある。

さて、アーモンドの木を皆さんは見たことがあるだろうか?

アーモンドのお話_f0226106_20111999.jpg


これは3mくらいの高さのアーモンドの木。大きなものでは10m級のものもあるらしい。しかしなんと地味な木なのだ、、、。

アーモンドのお話_f0226106_20174095.jpgアーモンドは右の写真のように木に成っている。緑の皮は繊毛がビッチリ付いていてフワフワした感触だ。写真は6月のものだが、段々、夏のシチリアの灼熱の太陽で緑の皮が乾燥してきてシワシワになってくる。そして皮が割れる7月下旬~9月上旬に収穫する。外側の緑の皮を剥くと中からは茶色い固い殻が出てくる。殻が付いた状態で日光に当てて乾燥させると、その状態で保存が可能になる、という訳だ。

アーモンドにはたくさんの油脂分が含まれているので、ひとたび殻を取ってしまうと油脂の酸化が始まる。ちなみにアーモンドの脂肪酸の90%は一価脂肪酸(オレイン酸)とオメガ3(αリノレン酸)で構成されていて、コレステロールを下げるなど、体にとても良い効果を持っている。ちなみにシチリアのアーモンドに含まれるビタミンEの量は、カルフォルニアのものに比べて3倍も多いという研究結果も出ているらしい。

ますます貴重なシチリアのアーモンド。


さて、味はどうなのか、、、というと、これは食べた人でなければ分からない美味しさだ。アマレットのような少々の苦味と香ばしいナッツの味、そして噛んでいると漂ってくる甘み。シチリアの食材店ではどこにでも売っているので是非試してみていただきたい。

シチリアではアーモンドはお菓子だけではなく、料理にもよく使われる。そして夏になるとlatte di mandorla(ラッテ ディ マンドルラ)というアーモンドドリンクも登場する。この話はまた今度のお話で。
by lacucinasiciliana | 2011-07-13 20:23 | シチリアのオイシイモノ色々
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