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シチリアのワインの雄 カンティーナPLANETA社(プラネタ社)訪問

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「シチリアのワインは安いのに美味しい」

なんていうのは今の常識だが、30年前までそんな事を言う人は誰もいなかった。

シチリアでは長いことワインは「他の地方に売るためのワイン」であった。1970年代にボトルに詰めてエチケットを張って出荷していたワイナリーがどれほどあったことだろうか、、、。その頃、全国展開していたワインと言えばCorvo(コルヴォ)くらいだったのではないだろうか?

1980年代になると、シチリアのブドウの水準の高さに目を付け始めた生産者がチラホラと出てきた。父親の仕事を見てきた息子が、「おらが土地の美味しいワインをボトルに詰めて全世界へ発信するぞ!」と血気盛んになり始めたのだ。その頃がシチリアワイン台頭の夜明けであった。そして1995年創業のPLANETA社はそんな先駆けワイナリーの中で最も成功したワイナリーと言っても過言ではないであろう。

シチリアは夏の太陽に恵まれ比較的安定してブドウが成熟する。「冷害」なんて事も稀にあるが北に比べると極端に少ない。肥沃な大地と夏のギラギラとした太陽でワインの熟成に必要な「糖度」が高いレベルまで上がる。アルコール度数が高いワインは一般的に高品質と言われるが(実際にはそれだけではなく、色々な要素に起因するのだが)、シチリアに育つブドウは元々のポテンシャルが高いため比較的短期間でアルコール度数の高いワインを醸造できるのだ。

今回私が訪れたのはSambuca di Sicilia(サンブーカ ディ シチリア)というシチリア南西部にあるカンティーナ。アランチャ湖という湖のほとりに畑は広がり、非常に風光明媚な場所。

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街のはずれから「PLANETA」と書かれた看板にしたがって延々と誰も走らない道を下っていく。道は整備されていて走りやすいのだが、なかなかたどり着かない。やっとたどり着いた、、、と思ったら、建物の中には誰もおらず、ウロウロしているとワイン醸造部門にたどり着いた。そこで働く人達が担当者を呼びに行ってくれた。

出てきたのはこの方、なんとトラーパ二出身というジュネブラさん。

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PLANETA社は「PLANETA」という苗字を持つ3人の兄弟で運営されているのだが、この日は誰も不在とのこと。PR担当のジュネブラさんが私達のお相手をしてくれる事となった。

「何が飲みたい?暑いから爽やかな白ワインでもいかが?」

と言って、まず試飲させてくれたのが「COMETA」。

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COMETAはFiano種というブドウ100%で作られる、すごくフルーティーな香りのワイン。Fiano種と言えばカンパーニャ州が有名だが、PLANETA社では90年代にFiano種をシチリアで栽培できないか、、、と実験していたところ、このワインが産まれたそうだ。最初のインパクトは爽やかなブドウの香りだが、少し経つとパイナップル香りを非常に強く感じることが出来た。爽やかだけれどしっかりした夏に最適なワインだ。

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その後、プラネタの歴史や現状、そして将来望む事などなど、、、をおしゃべりしながら合計6種類のワインを試飲した。中でも一番気に入ったのは「PLUMBAGO」という名の赤ワイン。Nero d'Avola100%だがタンニンは感じず、とっても柔らかい口当たり。暑い暑いシチリアの夏にも似合うワインだった。

しっかりと試飲をした後はすぐ近くにあるカンティーナへ。

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このカンティーナの地下にはシャルドネの樽を寝かしている蔵があった。

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PLANETA社はシチリアの西南部、メンフィという街の近くに2箇所、その他シチリア南東部のヴィットリアとノート、現在はエトナ山の近くでも黒ブドウの栽培を試しているという。栽培するブドウの品種によって土壌を選んでいるそうだ。カンティーナが数箇所に分散しているせいか、年間出荷量に比べるとそれほど大きい、、、という感じでもないが、機械は最新式のものが揃っていた。

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カンティーナを出るとまばゆいばかりのシチリアの太陽。時、既に18:00過ぎ。

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カンティーナのすぐ近くにはMerlot種のブドウが栽培されていた。

PLANETA社はもちろん名前も知っていたし、ほとんどの種類のワインを今までに飲んだのだが、こうしてワイナリーで裏話を聞きながら飲むワインはまた一味違うものだ。PLANETAの他のワイナリーも見てみたい、、、という気分になった。

トラーパニから約1時間半の道のりのPLANETA社。エノツーリズモを充実させようと思っているラ ターボラ シチリアーナ、PLANETA社訪問のプランを追加しようかと思っている。
by lacucinasiciliana | 2011-08-03 16:21 | シチリアワイン
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