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無農薬に情熱を傾けるTitone(ティトーネ)ファミリー(オリーブオイル生産者訪問)

トラーパニ近郊の小さな村、マラウサ。そこで独自の無農薬栽培をしているオリーブオイルの生産者「Titone(ティトーネ)」を訪ねた。

Titone(ティトーネ)は生産者のファミリーの苗字。1936年から今と同じ土地でオリーブオイルを造り続けるトラーパニの中でも伝統ある生産者のひとつだ。もともと薬局を営むTitone家は古くから「無農薬」にこだわり続けた。

「食べることは健康になる事だ」

と語るのは、現在のオーナーであるジュセッペさん。

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「健康になりたければ食べろ。薬に頼るな。」

そんな事を言い出す薬局のおじさんはジュゼッペさん以外、この世にいるのだろうか?

f0226106_15461335.jpgさて、冒頭に書いた「独自の無農薬栽培」とはどんなものだろうか。

無農薬栽培のオリーブオイル農家を泣かせるのはハエを始めとする虫達。ハエは果肉の多いオリーブを狙って彼らのもつ針で穴を空けてしまう。当然、穴が空いたオリーブはそこから酸化が始まり、劣化して落ちてしまう。落ちなかったとしても、酸化したオリーブを使って作ったオリーブオイルは当然良質なものとは言えず、それは味にも反映される。

ジュセッペさんはパレルモ大学と共に進めてきた研究で、「ハエが好む匂い」を発見した。

「ハエは臭いものが好きなんだよ。」

右のボトルを見て頂きたい。上に小さな穴が空いているのが分かるだろうか?

「ボトルの中に魚の粉かアンチョビを入れて水を注ぐんだよ。メスのハエはその匂いに引き付けられて穴から入ってしまう。オスのハエは魚の匂いには引き付けられないけれど、メスが放つフェロモンに引き付けられて穴から入ってしまう。こうすることで、劇的にハエの量を減らすことができるんだよ。」

原始的だが画期的な発明だ。Totone家には5000本のオリーブの木がある。彼らは、この1本1本の木に、この仕掛けがされているボトルを毎年ぶら下げ、毎年回収しては洗って翌年に備えるのだ。

ジュゼッペさんの説明に続き、娘のアントネッラさんに畑を案内してもらった。

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「ほら、このボトルは緑でしょ?でもあっちのボトルはオレンジ。入ってくる虫によって水の色が変わるのよ。オリーブを狙っているのはハエだけじゃないからね。」

本当だ。ボトルを見ると、濃い緑、薄い緑、オレンジ、ピンク、、、、自然界には色々な色をした虫がいるものだ。

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オリーブ畑にはトラーパニを代表する3種、ビアンコリッラ、チェラスォーラ、ノチェッラーラの3種、それとその他数種のオリーブの木が植わっているという。オリーブの木は品種を問わずランダムに植わっているが、収穫する時は種類ごとに収穫していく、というのだから大変な作業だ。オリーブの木はきちんと剪定され、木も元気そうなのが畑から伝わってくる。

自社でフラントイオ(搾油所)を持つTitoneは1992年から最新のコールドプレスを導入している。収穫してすぐにオリーブオイル製造に移れるというのはオリーブオイルつくりにおいて非常に重要なポイントで、大きな利点である。

さて、一通り見学した後は、オリーブオイルの試飲だ。

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Totoneでは2種類のオリーブオイルを作る。ひとつは「Valli Trapanesi D.O.P」、もうひとつはD.O.P規定にこだわらず作ったオイル。いずれも無農薬である。D.O.Pオイルを試飲してみる。さわやかな緑の香りとどことなく漂う青りんごの香り、口に含んでみると草原をイメージさせるような緑のオリーブの風味、、、とても均整の取れた美しいオイルであった。

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壁一面、、、というか、部屋の全面の壁を埋め尽くす賞の数々、、、。その数は圧巻だ。

「収穫はいつから始まるの?」

という私の問いに、

「10月の上旬よ。良かったら見に来てね。」

と微笑むアントネッラさん。是非、オイルが出来る瞬間を見に行きたい。
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by lacucinasiciliana | 2011-09-11 16:20 | オリーブオイルのお話
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