2010年 08月 26日 ( 1 )

トラーパニのご当地パニーニ Pane Cunzatu(パーネ クンサトゥ)

f0226106_22314218.jpg地方色が強いイタリアの食ですが、パニーニひとつを取っても地方色にあふれるのが面白いところ。イタリア各地にその土地の生産物を使ったご当地もののパニーニがあります。トラーパニのご当地パニーニは「Pane Cunzatu(パーネ クンサツゥ)」。パニフィーチョ(パン屋さん)でもバールでも見かける一品です。「Cunzatu」とはトラーパニの方言で「Condito(コンディート)」、「味付けをした」という意味です。なので、「Pane Cunzatu → 味付けしたパン」という事になります。

材料は右→の写真にも書いてあるように、、、

硬質小麦の粉、水、天然酵母、ビール、塩、ゴマ(ここまではパンの材料)

それに、

オリーブオイル、オレガノ、コショウ、アンチョビ、トマト、ペコリーノチーズ

これがパニーニの具材。

パニーニなので作り方は本当にシンプルで、パンを横にスライスしてオリーブオイルで全体にパンを湿らせます。ボリューミーになりすぎるのを避けるため、パンの白い部分を少し取ってしまう人もいます。そこに材料のトマトのスライス、ペコリーノチーズのスライス、アンチョビ、コショウ、オレガノをパラパラ、、、とまいてパンを閉じたら出来上がり。こんな簡単で誰にでも思いつきそうな一品ですが、、、、トラーパニのレシピ本にきっちりと掲載されているほど、この辺では親しまれている一品です。

f0226106_22433324.jpgPane Cunzatuは私の海のお供でもあります。サンビート ロ カーポの海に行くとき、道中の美味しい薪窯のパン屋さんで仕入れていきます。写真のものは一人分にカットされたものですが、500gのパンでドンッ!という形でも売っています。さすがイタリア(シチリア??)、大胆(笑)

トラーパニにはまだまだ多くの薪窯を使っているパン屋さんが残っています。日常食べる普通のパンは薪窯で、クロワッサンや甘いパンなんかは電気オーブンで、、、と使い分けているパン屋さんが多いのです。薪窯で焼いたパンは、特有の香りがして香ばしくやっぱり美味しいのですよね。写真のパン屋さんの薪は「オリーブの木」だそうです。以前に「カステルベトラーノの幻の黒パン」のエントリーで、黒パンである条件の一つに、薪が「オリーブの木であること」というのがありました。それから「薪」が何であるのか、、、トラーパニのパン屋さんでも気になって色々聞いたのですが、驚くことに意外や意外、「オリーブの木」と答えたパン屋さんが多いのでした!実はうちの隣のパン屋さんも「オリーブの木」だったのです。考えてみてれば、トラーパニ地区は優良なオリーブオイルの生産地でもあります。毎年数回行われる剪定では結構な量の木が切り落とされるんですよね。昔も今も、こういう自然のものを利用してパンを焼くのですね。

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ちなみにパン屋さんの中はこんな感じ。パンが並んでいる棚の奥に薪窯があります。パンを窯に入れるとき、窯から出すときはパン職人さんが2人、忙しそうに働いています。

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このパン屋さんはいつ来ても大盛況!イタリアはトレーを持ってパンを選んでレジに、、、という日本式の購入方法ではなく、何事も対面販売。店員さんに「あれと、これと、それと、、、」と注文していきます。一人一人の対応なので時間がかかりますが、みんな適当におしゃべりをしながら待っています。一人の注文が終わると、

「A chi tocca?(次は誰?)」

と、お客さんに聞くのも面白いところ。(自分の番が来たら「Tocca a me!(トッカ ア メ!)」と言って、手を挙げましょう。)

f0226106_2354947.jpg私たちが買ったのは、一本丸ごとドンッ!の巨大サイズ。一応3つに切ってもらいましたが、一個がでかい(笑)ここのはパンの白い部分は取り除かれていないタイプなのでボリュームたっぷり。写真で見るよりもトマトは多めに入っているかも。ペコリーノチーズはしょっぱいので満遍なく薄いのが一枚、という感じです。

そういえば、いつだったか、ドミンゴマンマが家でパンを焼いたときに、焼きたてパンで作ったPane Cunzatuを食べたことがあったっけ。それはそれは美味しかったこと、、、。

時代の変化と共にどんどん消え去ってしまう伝統ですが、シチリアにはまだまだ「伝統食」が普通の生活に溶け込んでいます。わざわざ気張って伝統を守る、という形ではなく、その時代に合った形で自然に伝統が生活の中に溶け込んでいる、、、そんな風景に出会えるのが魅力でもあるシチリアです。
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by lacucinasiciliana | 2010-08-26 22:38 | シチリアのオイシイモノ色々