2010年 11月 25日 ( 1 )

ペコリーノ シチリアーノ D.O.P作りに潜入!

さて、出来立てホヤホヤのリコッタに続き、ペコリーノ シチリアーノD.O.Pについてのレポートです。

ペコリーノとは「羊(pecora=ペコラ)乳から作られたチーズ」の総称です。ペコリーノ ロマーノ、ペコリーノ サルド(サルデニア)などが有名ですが、ペコリーノ シチリアーノもやっぱり有名。土地それぞれで羊ちゃんが食べているもの(草?)が違うため羊乳の味も代わりため、当然チーズの味も変わってきます。

今回見学にいったカゼイフィーチョ(チーズ工場)では、自分達で羊を飼い、仕事は毎朝乳搾りから始まるそうです。

f0226106_23551496.jpg


リコッタのエントリーでも触れましたが、乳の出る量は、牛→ヤギ→羊の順に少ないらしく。乳が凝縮しているせいか羊乳はどことなくトロンとしている感じもします。

ペコリーノ作りはこの絞りたて乳(38度程度だそうです)にCaglio(カリオ)を入れるところから始まります。Caglioとは子牛の胃の一部でこれを入れることでチーズが凝固し始めるそうです。そういえば、ドミンゴマンマは昔は羊の胃を乾燥させてチーズを作るときに使っていた、、、って言っていたっけ。Caglioを入れると乳がプリンのようにブルンブルンになってきます。ある程度の固さになったら熱いお湯を入れながらプリンを砕いて行きます。そしてこの砕けたプリンを手で集めながら水分を切りながらカゴの中に入れて行きます。

f0226106_071640.jpg


リコッタと似ていますが、リコッタではありません。この時点ではちょっと固い豆腐のような感じで、塩気も軽く感じる程度。

f0226106_0101192.jpg


ギューギュー押して水分を抜いたら、型から一度はずしてひっくり返します。そしてできるのがペコリーノチーズの原型となるTuma(トゥマ)。

f0226106_0121430.jpg


Tumaは大きな入れ物に入れられ、リコッタを作った後に残ったホエー(80度)にしばらく浸して殺菌するそうです。羊のお乳は最初から最後まで余すところなく利用されるのですね。

f0226106_0145231.jpg


さて、ホエー風呂から出された後、いよいよ熟成に入ります。

まずPrimo Sale(プリモ サーレ)と言われる、一番目の塩をつけます。これは塩を直接Tumaに刷り込むわけではなく、塩水に漬けるそうです。そして4日後くらいからペコリーノ シチリアーノの中で一番フレッシュなタイプ「Primo Sale(プリモサーレ)」が出来上がります。ここで出荷されないものはさらに熟成されます。

こちら、今回特別見せてもらった熟成室。

f0226106_0202232.jpg


大きなチーズ工場ではないため、棚も写真のようなものが数列あるのみ。本日の案内役、このカゼイフィーチョの後継ぎバルド君です。

f0226106_0222664.jpg


「ペコリーノ シチリアーノはD.O.P(原産地名称保護制度)に認定されているから、法で定めた作り方に従って作らないと、ペコリーノ シチリアーノD.O.Pとは呼べないんだ。ほら、D.O.Pに認定されたものにはきちんと刻印が押されているんだよ。」

f0226106_144336.jpg


ほ、本当だ~!実はペコリーノ、私も丸のままこうやってじっくり見る機会はなかなか無いため、気がつきませんでした。「Pecorino Siciliano D.O.P」とちゃんと書いてありますね。

バルド君曰く、

「1ヶ月に一回、検査員が訪れるんだよ。そして、10個に1個の割合でチーズのサンプルを採取していくんだ。ほら、このチーズ、穴が空いているでしょ??」

f0226106_1104649.jpg


本当だ~~~。下の丸い刻印の右斜め上にある少し盛り上がっている部分が穴です。

更にバルド君。

「サンプルを分析して、塩分、酸度などの熟成具合を調べて、オッケーが出たものだけに刻印を押していくわけさ。ちなみに、大きな丸い刻印はうちのカゼイフィーチョの番号、上の小さな茶色い刻印はチーズ一つ一つについている番号。という訳で、どのチーズ達も世界に1個しか存在していないんだよ。」

Primo Saleは塩水に漬ける、と書きましたが、その後は、塩を塗りこんで行きます。大体1回~2回、塩を塗りこむらしいですが、状態に寄ってもう少し刷り込んだりすることもあるそうです。

「大体色を見れば分かるんだよ、塩が足りているか足りていないか。塩を入れすぎればしょっぱくなるし、塩が少ないと真ん中まで均等に塩が浸みこんでいかないんだよ。」

なるほど、、、たかがペコリーノ、されどペコリーノ。奥が深い。

こうしてブナの木で出来た台の上に乗せられて熟成させて行きます。Pecorino SicilianoというD.O.Pの印を受けるには最低4ヶ月の熟成が必要だそうです。このカゼイフィーチョでは最長で1年程度まで熟成させるそうです。(平均は4ヶ月~8ヶ月程度だそうで)

ワインやオリーブオイルは大好きな私ですが、実はチーズには好き嫌いがある私。そのため、カンティーナ(ワイン)やフラントイオ(オリーブオイル)の工場見学に比べると、なかなか出番の少ないチーズ工場見学。今回、久しぶりにカゼイフィーチョを見学して、熟成室までしっかり案内してもらい本当に勉強になりました。小さな生産者となると熟成室を見せてくれないところも多いのですが(ここに秘密あり?)、今回のカゼイフィーチョはチーズ作りの1~10までを惜しげなく教えてくれました。今まで何気なく食べていたペコリーノチーズですが、ちょっと見る目が変わっちゃった私です。パルミジャーノやモッツァレッラの大きな工場は見学に行ったことがありましたが、小規模の工場はやっぱり手作り感が溢れていて人情味があっていいですね。

2回に渡っての「羊ちゃんシリーズ」でしたが、リコッタもペコリーノもいずれも本当に美味しいシチリア。旅の際には是非食材屋さんで買って食べてみて下さいね!
[PR]
by lacucinasiciliana | 2010-11-25 00:26 | シチリアのオイシイモノ色々