2011年 09月 19日 ( 1 )

オリーブオイルテイスターへの道

先週末はローマにてオリーブオイルテイスターの公式名簿に登録するためのトレーニングを受けきた。

イタリア語でオリーブオイルテイスターは「assaggiatori ufficiali dell'olio di oliva」(アッサッジャトーリ ウッフィチャーリ デル オーリオ ディ オリーヴァ)。英語とイタリア語、日本語にすると同じ意味になるのだが、「テイスター」という言葉がどうも好きになれない私。タイトルは分かりやすくするために「オリーブオイルテイスター」と書いたのだが、このブログでは以下、「assaggiatori(アッサッジャトーリ)」と書くことにする。

6月に受講した講習はラツィオ洲で認可されたassaggiatoriを養成するためのコースだった。元々assaggiatoriになることが目的ではなく、知識を得るために参加したのだが、ここまできたらどうせだからイタリア政府に認可されたassaggiatoriになる?と思い、今回のトレーニングを受けてきた。

イタリアにはそれぞれの資格は国で認められていて、「assaggiatori ufficiali dell'olio di oliva」も国で認可された国家資格に当たる。その名簿に登録するためには、

1, 国が指定した講習に参加すること
2, 国が指定したトレーニングを行うこと
3, イタリアに住民票を持っていること

これが最低条件となる。

トレーニングは1回に3種類のオイルを試飲、それを最低20回行う、というもの。6月に受けた講習でも結構な数のオイルを試飲したが、トレーニングではそれとは別に更に60種類のオイルをテイスティングすることになる。

今回のトレーニングに参加したのは、前回の講習の受講生が私を含め計4人と、2年前の講習に参加した人が2人で計7人。うち4人がオリーブオイル生産者で2人が食に携わる仕事をする人、そして私。講習の他にもそれぞれでトレーニングを重ねてきたレベルの高い人達ばかりだった。

f0226106_022095.jpg
テイスティングはSala Panel(サーラ パネル)という、これまた州の厳しいチェックを受けた公式の試飲スペースで行う。一人一人仕切りで分かれていて、シーンとした中で集中した時が過ぎる。オイルのテイスティングは1回に3種。指定の用紙には

・欠陥各種
・Fruttato
・Amaro(苦味)
・Piccante(辛味)

を記入する欄があり、それぞれ自分が感じた尺度を記入していく。ワインのように「どこの産地のどの品種」を探るものではない。試飲途中には水と青りんごで、口の中に残るオイルを掃除しながら進めていく。

一斉にSala Panelに入室して、個々にテイスティングをした後、皆で意見交換をする。指揮を執るのは先生のパオラ。

f0226106_0182049.jpg


「さて、Aのオイルはどうだった?」

と質問すると、あっちからこっちから、皆の意見が飛んでくる。黙っている人なんて誰もいない。それは、今回のトレーニングはレベルが高く、それぞれに自分の基準を既に持っていたからかもしれない。そして、皆の意見が出終わったところで、どこで作られたどんな品種のオイルで、、、、とパオラの説明が続いていく。

オリーブオイルのテイスティングに「正解」は存在しない。「正解なようなもの」は存在するが、それぞれの五感は少しずつ違うため、まったく同じ評価が下る、という事はなかなか難しい。assaggiatoriが集まる正式なテイスティングは、Capo Panel(カーポ パネル)を中心としたグループ単位で行われる。assaggitoriが個々に出した意見をCapo Palelが意見をまとめてから提出する。今回のトレーニングはそれに近い感じだったかも知れない。

1日に3回のテイスティング(つまり9種)のオイルテイスティングが許可されているらしいが、確かにこの辺りが限界かもしれない。今回、規定のオイルテイスティングが終わってから、更に数種のオイルをテイスティングさせてもらった。(これはトレーニングとしては登録されないが)1日に15種のオイルをテイスティングした後は、感覚がだんだん麻痺してきて正確な判断が出来なくなってくる。パオラも

「20種以上はテイスティングするもんじゃないわよ。」

と言っていたが確かにその通りかも、、、。いや、テイスティングは出来るが、正確な判断が難しい、というところだろうか。

6月の講習、今回のトレーニングの講師をしているパオラは「食品分析」の世界で長く働いていた人。ラツィオ州のワインのD.O.Pの評議員でもあり、オリーブオイルのコンサルタントもこなす。

「モノの味を理解する、という事は、基本的にはワインもオイルもサラミもチーズも一緒。オイルだけじゃなくて、味覚を磨いていくのよ。」

パオラの話は非常に理論的で面白い。それは化学的な知識がものすごく豊富だからだ。分子や原子まで遡って、オリーブオイルに対する私達の謎を解明してくれる。そして話はオイルのみに終わらず、食品全般に関しての知識が豊富だ。偶然にもパオラと出会えたことはラッキーだったのだろう。

今回、6日間開催されていた中で私は仕事の都合で3日しか参加出来なかった。残りは10月か11月に引き続き行うこととなった。その後、晴れてイタリア政府のAssaggiatori Ufficiali の名簿に登録出来る事となるのだ。しかし、名簿に登録した後も、もちろんトレーニングは必要。嗅覚も味覚も鍛えなければすぐに劣化してしまう。私もトラーパニでの実地トレーニング(ちなみにオリーブオイル講習会を一緒に開催しているアルベルト・ガッルッフォ氏はCapo Panelでもある)、そして1年に数回はローマに行ってトレーニングを続けていくつもりだ。

ワインのソムリエに比べると比較的壁が低いassaggiatori ufficiali dell'olio di oliva。だからこそ、自分できちんとトレーニングを続けていくことが大切なのだ、、、と、つくづく思うのであった。
[PR]
by lacucinasiciliana | 2011-09-19 00:40 | オリーブオイルのお話