2011年 09月 25日 ( 1 )

ワインを造りに密着する

9月上旬の話だが、、、。今年はとある小さなカンティーナにて、ワイン造りを毎日覗けるというチャンスにあやかった。ワイナリー見学には頻繁に行くが、いつも見れるのはステンレスのタンクや樽で熟成している姿のみ。運よくワイン造りの季節に行ったとしても、毎日それを見るチャンスはなかなか無い。

今回見学したのはマルサラにある年間生産数10,000という小さな蔵。小さい割りには最新の装置が整っているカンティーナだ。

まず1日目に見学したのは収穫の様子。ここのカンティーナではブドウは100%手摘み。それはブドウに一番ストレスが少ない方法だから。シチリアの収穫は早い品種は8月中旬から始まる。太陽の力が強いため、決して棚にはできないシチリア。背の丈も低いため腰を折ってかがんだり、ひざをついたりとなかなか大変な収穫作業だ。

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収穫されたブドウは熱を持たないように穴が開いたケースに入れられていく。

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6月から全く雨が降らないシチリアでは、収穫が行われる頃は葉も枯れてきたものが目立ってくる。それでも土の中から養分と水分を吸い上げるために頑張ってブドウは糖度と酸度を増していくそうだ。収穫と同時に枯れた葉も切っていく。

こうして手間ひまかけて大事に収穫されたブドウは、圧搾する前に一度冷蔵庫で冷やされる。そして翌日、いよいよワインの原料となるモスト(ブドウジュース)造りだ。

冷蔵庫で冷やされたブドウはまずは枝から実だけを取るためのderaspatorice(デラスパトリーチェ)という機械に入れられる。

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片側からは枝が。

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そして下からは、ブドウの実のみが落ちてくる。

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この時点で少し潰されているため、実、、、というよりはジュースと皮、という感じに近いかもしれない。

この日は白ブドウだったので、この後すぐにモストをしぼるためのプレッサーにかけられる。ちょっと見づらいがプレッサーの中の様子。

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皮がジュースの上にプカプカと浮いているような感じだ。

プレッサーは中にある大きな風船のようなものが膨らみ、その圧力でジュースにするというもの。これもブドウにかかるストレスを少なくするための機械である。さて、そこから出てきたモストを味見させてもらった。

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甘い!!普通想像するぶどうジュースは透明なものだが、しぼりたてのモストは濁っている。

「りんごジュースだって、桃ジュースだって絞りたては濁っているでしょ??」

というのはカンティーナで働く人々。確かに。

しかし、この甘さは尋常ではない、、、と思っていると、

「すごい甘いでしょ?Zibibbo(ジビッボ)だからね。」

これまた納得。

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Zibibboとは甘い甘いデザートワイン、パッシートを造るためのブドウ。ここ数年、シチリアではパッシートを使ったテーブルワイン造りが流行っているが、Zibibboの大半は甘いワイン造りに使われるのだ。

こうして絞られたモストは一旦ステンレスタンクの中に入れられて、まずは7日~10日ほど醗酵される。

そして翌日。昨日飲ませてもらったモストが1日たったものを更に味見。

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甘いことには変わりないが、昨日より少し落ち着いた感じがする。見た目も随分透明になった。それは果肉の部分が下に沈殿したからだ。

あと数日したら、タンクを変えて2次醗酵に入るのだ。

「今年のブドウはどぉ?」

という私の問いに、

「収穫量は少ないけどね、質はすごく良かったよ」

というカンティーナの面々。肥沃な土地と燦燦と照る太陽と気候条件的に恵まれているシチリアでは、「当たり年」なるものが他の地方に比べると少ない。なぜなら「はずれ年」が非常に少ないからだ。毎年比較的安定して生産されるシチリアだが、それでもブドウは自然のもの。毎年毎年心配なのも当たり前だ。

こうして毎日、このモストを味見させてもらったのだが、毎日、状態が違うのが目でも舌でも分かる。ワインとは本当に生き物なのだ、、、と実感。1週間たって、タンクが移される頃には既にすっかりワインとなっていた。アルコール度数はこの時点で13.5度だったそうだ。

このワイン、白だけれども最低1年はステンレスタンクで熟成されるとの事。その後、瓶詰めされてその後、更に半年間休んでから出荷OKとなる。

1年半後にこのワインを試飲するのが今から楽しみだ。
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by lacucinasiciliana | 2011-09-25 22:29 | シチリアワイン