2012年 01月 06日 ( 1 )

新年オリーブオイル談義

先日、Venvs et Salvsのオリーブオイル生産者アルベルト氏の事務所に、3月に行われるオリーブオイルセミナーの打ち合わせのために足を運んできた。10月のオリーブ収穫期から年末にかけては非常に忙しいアルベルト氏。なかなか細かい打ち合わせも難しいのだが、年明けは年に数回の時間に余裕がある時期らしく、午前中を費やしてじっくりと第一回目の打ち合わせをしてきた。

今回のオリーブオイルセミナーのお題は、

「欠陥オリーブオイルを見分けよう」

欠陥オリーブオイル、、、というと、ちょっと引くかも知れないが、これこそ美味しいオリーブオイルを見分けるための第一歩。欠陥オリーブオイルがどんな臭いがして、どんな味がするかを知らずしては、美味しいオイルを見分ける事も難しい、、、という訳だ。アルベルト氏にとっても私にとっても、ここに辿り着くために1回目、2回目のオリーブオイルを開催したと言っても過言ではない。今回だけ参加したとしても、今後色々なオリーブオイルを試飲するにあたって非常に有益だと思われる。

という事で、打ち合わせの内容もおのずと欠陥オリーブオイルの話となった。どんな欠陥があるのか、それは何に由来するのか、、、私も今までの実地訓練と2010年に受けたオリーブオイルテイスター講習で色々と勉強してきたが、今日アルベルトが生産者の立場から説明してくれた内容は、経験上積み重ねてきた知識であって机上の空論ではなく目からウロコの事実も多かった。

そんな中、昨日、私の友人であるラツィオ州の生産者から電話がかかってきた話をした。実はこの生産者、

「2010年のオリーオイルをアルベルト氏に試飲してもらって感想を聞かせてほしい」

と、頼まれ、去年、私とアルベルト氏でラツッィオから送られてきたサンプルを一緒に試飲した。それは、私にでもすぐに分かるほどの「欠陥オリーブオイル」だった。

そして昨日の電話で、

「今年はコンサルタントを頼んで、フラントイオ(搾油所)を変えて、ブレンドも変えてみた。」

と言っていたのだ。そのコンサルタントはアルベルト氏と私の共通の友人でもある。それをアルベルトに伝えると、

「ふ~ん、2011年のオイルを是非試飲してみたいものだね。」

「でもフラントイオを変えれば、どう考えたって少しは改善されるんじゃないの?おととしまでのフラントイオは古い機械だけど、今年のところは新しい機械だ、って言っていたし」

という私の短絡的な意見に、

「新しいマシーンはね、それを操る人が優秀じゃなければ、古いマシーンで作るより良くないオリーブオイルが出来る事も多々あるんだよ。オリーブの状態だって様々だからね。それを見極めて作らないと。僕のフラントイオの最新マシーンはうまく使いこなせば、そりゃ極上オリーブオイルが出来るわけだけれど、僕は古いマシーンでも極上オイルを造る事ができるんだよ。でも、そのためには最新マシーンで作るより、もっともっと色んな事に気をつけなければならないだろうし、精神的な負担は大きいけれど。古いマシーンでもそれを操る人が優秀だったら、良いオイルが造れるんだよ。」

アルベルト曰く、オリーブオイルはF1に似ているのだと。例えば、いくら車がフェラーリだってそれを乗りこなすドライバーがいなければ勝つ事はできない、と。フェラーリ(最新のマシーン)とそれを乗りこなすドライバー(マシーンを操る優秀は生産者)が合致したときに勝つ事ができるのだと。

「それにね、オリーブオイル造りに一番大切なことは”信念”みたいなものなんだよ。コンセプトなきオリーブオイルは個性が無い。どういうオリーブオイルにしたいのか、イメージする事がすごく大切なんだ。そして、まずはそのイメージに近いオリーブオイルが出来るようなオリーブを育てる事が大切。そしてイメージ通りにオリーブが育ったら、次はそれをどうやって搾油するか、、、そんな事をいつもイメージしながら造るんだよ、オリーブオイルは。」

ちなみに私達が展開するオリーブの木オーナー制度Venvs et Salvsのオイルはどんなイメージだろうか、、、。私が思うに「広大な草原に立つ白いヴェールをかぶった女神、そして後ろにはうっすらと青い海が見える、、、」、そんな感じか。アルベルト氏に聞くのを忘れたが次回聞いてみたいと思う。

自然と人間の知恵の産物であるオリーブオイル。醗酵という過程がないためワインほど複雑ではなく、それが故にその年のオリーブの状態が非常に品質を左右するものだ。そして状態の良いオリーブを育てるために、生産者達は1年中手入れを欠かさずにオリーブの木を愛でるのであった。

2011年は私にとっては「オリーブオイル年だった」と言っても良いほど、オリーブオイルにどっぷりと浸かった1年だった。そんな中でムクムクと湧いてきた私の野望、それは

「自分でオリーブオイルを造ってみたい」

自分がイメージするオリーブオイルを作るために、自分で苗を選び、育て上げ、いつしか「自分の理想のオリーブオイル」を造ってみたい、と思うようになった。自分で造ってこそオリーブオイルの真髄が分かるような気がしてならないからだ。

オリーブの木には不思議な魔力がある、、、

そんな話を聞いた事がある。私もその魔力に慿りつかれてしまった一人なのかもしれない。
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by lacucinasiciliana | 2012-01-06 19:20 | オリーブオイルのお話