2012年 01月 12日 ( 1 )

テーブルセッティングという習慣

f0226106_1162625.jpg


イタリアでは食事をする前に必ずテーブルクロスを変える。そして、食事が終わると又すぐにテーブルクロスを変える、、、。まるで食事をする前の儀式のようだ。

イタリア人の家はいつもピカピカだ。床もピカピカ、そしてキッチンのシンクもピカピカ。「あとで洗おう」とシンクの中に置いてある使った食器もなければ、ガス台の上には「後で温めて食べる用」の鍋もない。テーブルの上ももちろんきちんと整理され、テーブルセンターにはお花やフルーツが入った陶器などが置いてあり、常日頃からテーブルセッティングがされている。イタリア人の家はそこで生活をしているにも関わらず生活感がない。

私がお世話になるドミンゴ家では、「特別な日のクロス達」がある。それはマンマが手刺繍で作ったテーブルクロスだったり、ここぞ!という時のために買ったものだったり。もちろんテーブルクロスとセットでナプキンもおそろいだ。

上の写真は2012年のお正月ランチの時のセッティング。赤で統一したクリスマスとは打って変わって、新年らしく清清しい白を貴重としたテーブルクロスだった。

f0226106_1274071.jpg


クロス類だけではなく、「特別な日の食器」もある。年に数回お目にかかるこの白に金の縁取りのお皿は、マンマとパパが結婚したときに誂えた食器セットらしい。同じくナイフやフォークなどのカトラリー達もその時に揃えたもの。50年近く経っているのに、お皿はまるで新品のように光っている。

こんなところにイタリア人の食に対する真摯な姿勢が見え隠れする。

テーブルクロスを変えるという儀式は

「これから食事をする」

という、しっかりとした意思表示であり、食事の時間を大切にする、というイタリア人の意気込みであろう。シチリアでは未だに家族全員で毎日食事をする家庭も多く、食事の時に雑誌や新聞を読む人もいない。テレビは付いていたとしても皆が黙って見入ってしまう事は無く、ニュースを見ながら皆が意見交換を始める。「家族団欒」とあえて言う感じもなく、当たり前のようにこんな風景を見る。そして食事が終わってテーブルクロスを変えると「食事が終わった」という暗黙のサインとなるのだ。

こうしたテーブルセッティングに関する習慣は、いかにイタリア人が「食」を大切にしてきたか、を表しているのだと思う。そして、現在も「食」に対する執着というか、意気込みというか、そんなものを感じる。

私もイタリアに来てからは一人で食事するときでもテーブルクロスを変えている。そうする事で、ダラダラとなんとなく食べるのではなく、

「大地の恵みをを感謝しながら味わって食べる」

という気持ちになれるからだ。きっとイタリア人も同じような気持ちなのだと思う。

日本では忙しいライフスタイルからなかなかそんな事をするのが難しいと思うが、週末だけでも是非試していただきたい。テーブルクロスを変えるだけで、不思議と「食」に対する姿勢が変わるような気がするから。
[PR]
by lacucinasiciliana | 2012-01-12 16:22 | 食文化イロイロ