カテゴリ:マンマの古道具( 2 )

マンマの古道具 その2  ~クスクス専用鍋 クスクシエラ~ 

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粉から手作りするクスクス、、、トラーパニ近辺でしか味わえないこの一皿。レストランではもちろんの事、家庭でもクスクスを粉から手作りします。

マンマの古道具第2回目は、クスクスを蒸すための陶器でできた専用鍋「Cuscusiera(クスクシエラ)」。前回の「モルタイオ」に続き、こちらもお姑さん譲り。最低でも50年以上は経っているそうです。現在の道具屋さんで見かけるクスクシエラは、下の部分がもっとどっしりとしたもので、下がほっそりしたタイプのものはもはや目にすることがありません。

クスクシエラの底にはポツポツ穴が開いていて、下に水を張った鍋の上にクスクシエラを置き火にかけて1時間半ほど蒸します。下の鍋もお姑さんから譲り受けたものがあったそうですが、残念ながら割れてしまったそうです。

f0226106_3565127.jpg(左上)底と側面にポツポツ穴が開いています。穴は意外と大きいのですがクスクスが落ちることはありません。

(右上)調理後、穴に入ったクスクスはなかなか取りにくいため、あえてそのままにしておきます。そして次回使うとき、竹串で突っつくとカピカピに乾燥したクスクスが出てきます。これが日本で箱に入ったクスクスの正体。つまり一度蒸したものを乾燥させたインスタントクスクス、です。

(左下)どこの角度からみてもとっても美しいフォルム。特に取っ手の部分の厚さと丸みがなんとも言えません。

(右下)クスクシエラと下の鍋の隙間から蒸気が漏れると、うまくクスクスが蒸しあがりません。そこで、セモリナ粉と水を混ぜて下の鍋とクスクシエラの間を埋めるための生地をつくります。それをペタペタ貼り蒸気が漏れるのを防ぎます。昔の人の知恵ですね。



「金属製の蒸し器でもクスクスは作れるけどね、やっぱりこのクスクシエラで作ったほうが美味しいのよね。」

というマンマ。陶器という材質か、はたまたこの形か、、、とにかく昔のタイプのクスクシエラはマンマ曰く、熱の回り方が良いそうです。古道具好きの私としては、この鍋を見ているだけで美味しそうなクスクスが出来そうな気になってしまいます(笑)

マンマの愛情たっぷりクスクスは、どこのトラットリアで食べるよりも美味しいんですよ♪
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by lacucinasiciliana | 2010-05-23 02:48 | マンマの古道具

マンマの古道具 その1  ~ モルタイオ ~

私のパートナーのC氏の実家のマンマの家には、先代から伝わるたくさんの古道具があります。長い年月を経て、現在もまだまだ台所で活躍している、、、そんな道具をちょっとづつ紹介していきます。

第1回目はこちら。
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イタリアでは「Mortaio(モルタイオ)」と呼ばれる”すり鉢”。

「左の陶器のものは、お姑さんが使っていたものを嫁入りした時にプレゼントしてくれたのよ。右の木のものは、私が結婚記念に買ったもの。結婚して47年だからいずれもそれ以上経っているって事ね~。陶器の方は60年以上じゃないかしら?」

手入れが行き届いているせいか、50年近く使い続けているものとは思えないほど保存状態も良いです。もちろん両方とも現役で、現在も使われています。

さてこのモルタイオ、ジェノバではかの有名な「ペスト ジェノベーゼ」を作るために大理石のモルタイオがあります。変色を防ぐ為に温度が上昇するのを防ぐことが可能な大理石にしたそうです。日本にはゴマなんかをすりやすくする為か溝が付いたすり鉢。そしてインドにも東南アジアにも、、、名前は違えど、どこに行っても存在するんですよね、モルタイオ。シチリアでは「木」のモルタイオが多く、続いて陶器、でしょうか。

「昔は機械がなかったからすべて手作業で磨り潰していたのよね。今でこそ一瞬でできるようになったけれど、昔は朝から、食べるために働いていたようなものだったわ~。」

このモルタイオで作るもの、と言えば「Pesto Trapanese(ペスト トラパネーゼ)」。地元の人の間では、「Pasta con l'aglio(にんにくパスタ)」とも呼ばれているこのペースト、にんにく、バジル、生アーモンドを一気にこのモルタイオで潰していきます!(ペーストは最終的にはトマトも入ります。)ご覧下さい、マンマの勇士を!
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レッスンで体感していただいた方はお分かりかと思いますが、簡単そうに見えて慣れないと本当に大変な作業です。アーモンドは「皮無し生」の状態なのでとっても潰れにくいのですが、マンマはガツッ!ガツッ!と慣れた手つきで潰していきます。力も然ることながら、潰すにはコツがあるんですよね。

「当時は”皮無しアーモンド”なんて売っていなかったからね~。ペーストはね、夏に収穫したアーモンドの硬い外皮を石でバンバン叩いて取るところからはじまったのよ。で、薄い皮は熱湯につけて湯剥きして、、、、。」

力強くアーモンドを潰しながら、楽しそうに昔の話をするマンマ。時代はどんどん変わってきて、自給自足生活経験者も少なくなってきている今日この頃、マンマから昔の話を聞く時間は私の大切な時間でもあります。

こうして代々大切に受け継がれていく道具達は幸せものですね。

ラ ターボラ シチリアーナのブログも更新中です!
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by lacucinasiciliana | 2010-04-14 16:49 | マンマの古道具