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カテゴリ:シチリアワイン( 8 )

無農薬ワインを造り続ける真摯なカンティーナ「Di Giovanna(ディ ジョヴァンナ)」

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先日、お客様からのリクエストでとあるカンティーナに行ってきた。

行ったのはアグリジェント県にあるサンブーカ ディ シチリアという小さな街。その近郊の丘の上にある「Di Giovanna(ディ ジョヴァンナ)」というカンティーナ。Di Giovannaはオーナー一家の苗字だ。

サンブーカ ディ シチリアの近くには、かの有名なプラネタのカンティーナやブドウ畑もあり、ブドウ栽培が盛んな地域である。Di Giovannaはこの街の近くの400m~800mと標高の高い場所に無農薬でブドウを栽培している。

まずはサンブーカ ディ シチリアの街で待ち合わせ。待っていてくれたのは、経営者兄弟の一人、グンテルさん。

「直接カンティーナで待ち合わせでも大丈夫でしたが。」

という私に、

「いやいや、カンティーナは君たちだけじゃ辿りつけないよ。」

と笑うグンテルさん。その意味はその後に分かった。

道は比較的きちんと整備されているものの、小さな看板を見逃してしまったら絶対に辿りつけない、、、そんな場所にカンティーナはあった。

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まずはブドウ畑の説明から。

ブドウ畑は、前列からシャルドネ、カベルネ、ネーロ ダヴォラ、ソービニヨン ブラン、、、、という具合で横一列に植わっているとのこと。この畑は約400メートルの高さにあるらしいが、朝と夜の気温の差が大きいため、昼にしっかりと太陽を浴びたブドウ達は夜には休む事が出来、またその温度差がブドウの糖度を上げるのに具合がいいそうだ。写真のブドウ畑のから続く山もグンテルさん一家の持ち物だそうで。

「山全体が自然保護区に認定されているからね。他の人が畑や建物を作ることも出来ないから、他の畑から農薬が飛んでくる事もないんだよ。」

シチリアのブドウの収穫は早く、ブドウ達は跡形もなく収穫されていたが、少しだけ残っていたシャルドネの実を食べてみた。干しブドウにはなっていなかったが、その実は驚くほどに甘かった。

さて、続いてカンティーナの内部へと続く。

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非常に最新のシステムが導入されていて、思ったよりも規模が大きい。グンテルさんは、ワインの造り方を隠す事なくイチからジュウまで語る。無農薬の法律の事や、酵母のことも、非常に詳しく話してくれ彼の誠実さが伝わってきた。

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地下に行くと今年のワインを待っている樽が並んでいた。

通常は見学を受け付けていないというこのカンティーナ。試飲スペースは特別用意されていない。そして時間はお昼前。

「今ここで、皆、空腹のまま試飲しても、僕たちのワインの美味しさを味わってもらえないと思うんだ。好きなワインを持っていって、さっき予約しておいたトラットリアで料理と一緒に味わってみて。」

色々なワインを頂きカンティーナを後にする事となった。

さて、サンブーカ ディ シチリアの近くにある小さなトラットリアに到着。私達がここで選んだのはネーロ ダヴォラのロゼ。

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最近、シチリアではロゼ造りがちょっとした流行になっているが、Di Giovannaのロゼは非常に香りが高い。魚にも肉にも合う感じだ。

ワインは生産者に会って話を聞いてから味わうと、ただ単にワインを味わうだけよりもなんだか美味しい感じがする。それはきっと生産者の想いがワインにこもっていることを感じられるからであろう。Di Giovannaのロゼワインも生産者の性格同様、非常に実直な味がした。

Di Giovannaのワインは日本のワインインポーターのネットショップで購入が可能だ。興味のある人は是非一度飲んでみていただきたい。

■ eurovin(エウロヴァン) ホームページ → http://www.eurovin.co.jp/main/index.html
■Di Giovannaのページ → http://www.eurovin.co.jp/winery/giovanna.html
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by lacucinasiciliana | 2012-11-09 01:29 | シチリアワイン

マルサラ地方に伝わるワインの伝統 「農民ワイン ペルペトゥオ」

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マルサラ地方にはかつて「ペルペトゥオ」と呼ばれるワインの製法があった。

「ペルペトゥオ」とはラテン語で「永遠」という意味。樽に入れられたワインは少しずつ蒸発し、少しずつ飲まれる。そして、その空いた部分は、毎年新しいワインで満たしていく。こうして毎年継ぎ足していく事で

「永遠に終わらないワイン」

という事からペルペトゥオという名が付いた。

農家はかつてこうして家でワインを造り続けてきたのだが、大手のワイナリーが活躍するようになり、かつてのワイン世界とは全く違う形態となった現在のシチリアワイン事情。ブドウを売っても全く利益が出なくなってしまった今日この頃、ブドウ農家を廃業する農家もたくさんでてきて、農家のワインの伝統は途絶えつつあるのだ。

しかしそんな伝統を守ろうとする人物もいる。トラーパニ近郊で活躍するワイン醸造家ジャコモ・アンサルディ氏。彼は、マルサラで生まれ育ち、ワインの勉強を続けてきた。現在は某大手ワイナリーの醸造家をつとめる他、自身のこだわりのブドウ畑とワイナリーも所有する。そのワイナリーの地下にはペルペトゥムのコレクションがあるのだ。古いものでは1950年代から続いているワインもあるとの事。

「このコレクションはね、農家にお願いして買ったものもあるけれど、きちんとこのワインの伝統を継いでくれるなら、、、という事で農家から引き受けたものもあるんだよ。”息子はもう農業を継がないから誰かがワインを管理してくれないと我が家の伝統が途絶える”、ってね。悲しいけれどそれが現実。でも、僕はこのマルサラの伝統をしっかり守っていきたいと思っているんだ。」

ペルペトゥオを保存するため、厚さもしっかり備えた樽を作ったアンサルディ氏。

「この樽なら今から100年以上はしっかり保存できるだろうからね。息子の代まで続くだろう?」

両サイドには合計30個以上の樽が並ぶ。こんなにペルペトゥオ一同に見れるのはこのカンティーナだけであろう。一つ一つが違う農家から引き継いだものだ。一つ一つの樽に家族の伝統があり、彼らのためにもそれをしっかりと引き継いでいく必要があるのだ、とアンサルディ氏は語る。

私はこの貴重なペルペトゥオを時折試飲する機会に恵まれる。

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琥珀色をした数十年続いているこのワイン、香りを嗅ぐとなんともいえない芳醇な香りで満たされる。口に含むと、非常にさらっとしているのに飲み干した後も香りはずっと続く、、、なんとも言えず後を引くワインだ。アルコール度数は18~19%と非常に高い。アルコールは加えられていないのに、こまで度数が上がるのは、この地区で作られるブドウだから。色々な年代のものを飲ませてもらったが、やはり醗酵具合が樽に寄って異なる事はすぐに分かる。一番古いもので約70年ほど前のもの。それは、一言では、いや言葉では表現できないような始めて味わったものであった。

かつては結婚式や出産祝いなどのお祝い事に振舞われていたというペルペトゥオ。家族の歴史を見守ってきたといっても過言ではないであろう。時代の流れとともに伝統が失われていく事は悲しいことだが、その反面、それを守ろうとする人がいるという事は喜ばしき事。このペルペトゥオコレクションは代々継がれて行く事を心から祈る。
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by lacucinasiciliana | 2012-10-26 19:46 | シチリアワイン

島民が作る島民のためのパッシート ~食文化は気候風土から形成される~

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パンテッレリア島と言えば「Passito di Pantelleria(パッシート ディ パンテッレリア)」、と言われるくらい有名なこのワイン。通常は「パッシート」と呼ばれる。

パッシートはZibibbo(ズィビッボ)種という甘い甘いマスカットから絞ったモストに、同じ品種のブドウから作った干しブドウを加えながら醗酵させていく独自の作り方をするデザートワインだ。ここトラーパニでもパンテッレリア島が近いとあって頻繁に飲まれるデザートワイン。だが、パンテッレリア島は頻繁、、、というより毎日、いや、毎食後に飲まれるほど親しまれているワインだった。

食事の後、ふっと立ち寄ったバールで、知り合いに家で、、、、いつどこでも

「パッシート飲む?」

パンテッレリア島は風が強い事でも知られる島。そのためここでは高い木は育てられない。(というか、育たない)当然ブドウの木も膝の高さほどの低木なので収穫は膝を付き腰をかがめながらの重労働だ。その上、干しブドウも一つ一つ手作業で枝から離すとあってその作業は気が遠くなるほど。そんな大変な思いをして作ったパッシートはもちろんパンテッレリア島民にとっても大切なもの。パッシートをご馳走してくれる、という事は歓迎されているのだろう、と思って間違いない。

6月に行ったパンテッレリア島。一体5日の滞在中にどれだけの種類、そしてどれだけの量のパッシートを飲んだ事であろうか、、、、。そして、島民からご馳走されたパッシートは私が今まで知っていた非常に香り高く色も濃い、トリロ、、、としたパッシートとは違うものであった。サラサラ、色も琥珀色、そしてスッキリとしたパッシート。こんなパッシートもあるの?

それもそのはず。私が島民からご馳走してもらったパッシートは、それぞれのお家自慢のパッシート。ラベルを貼られて世に出るものではないこの島に来て、そしてこの島の人々と知り合わなければ飲むことができない貴重なパッシートだったのだ。

「あいつんちの今年のパッシートはこの島一番さ。」

と、島民同士でも、毎年パッシートの品評会となるという。

そんな島民のパッシート、これがまたどれもこれも非常に美味なのだ。パンテッレリアはアフリカに近いため灼熱の強烈な太陽が毎日降り注ぐ。島民たちは少し歩いてはバールで休みながらお喋りに興じる。そんな時のお供はパッシート。夜になると手にはそれぞれ、家で採れた野菜や果物、釣ってきた魚を持ち寄り、適当に誰かが作り始め、適当にウワサを聞きつけた人が集まり始める。そして食事の後のお供はもちろんパッシート。気温がグンと下がる過ごしやすいパンテッレリアの夜はこうして更けて行く。1日に何度も何度も飲まれるパッシート。それには私が知っているトロリ、、、としたパッシートは重過ぎる。灼熱の太陽を浴びた後、バールでご馳走になるパッシートは、少しサラサラしたくらい(とは言ってももちろん普通のワインよりはかなりしっかりしているしアルコール度数も高い)の方がぴったりだ。

「食文化とはその土地の気候風土と相まって形成される」

本当にその通りだ、と体感した今回のパンテッレリア島訪問。忘れ難い非常に貴重な体験であった。

私が知っていたトロリ、、、としたパッシート、それはもちろん甘美な、魅惑な香りの、とても美味な、そして超高級なパッシートだ。しかしそれは、その土地で飲むものとして生まれたのではなく、そもそもパッシートが飲まれない土地(これほど暑くない、これほど頻繁に飲まれない)をターゲットとして生まれたものだという事に気がついた。云わば「島の外に輸出するためのパッシート」。島で飲むには重過ぎる。

5日間の間に本当にたくさんの島民パッシートをご馳走になった。どれもこれもそれぞれに味わいがありあまりにも美味しく、写真を撮るのも忘れてしまった。その中でも一等賞は、港の近くにある場末のバールでご馳走になった一杯。サラサラとした琥珀色の液体は、太陽に疲れた私の体を自然の甘みで潤してくれた。
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by lacucinasiciliana | 2012-07-15 17:51 | シチリアワイン

ブドウ畑に咲くバラの花

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シチリアでは3月から新芽を出し始めたブドウの木がグングン成長してきた。

トラーパニ近郊のワイン用ブドウ畑では早いものでは8月中旬に収穫が始まる。イタリアの中でも最も早く収穫が始まる地区の一つである。5月はギラギラとしてきた太陽を浴びて早くも実をつけ始めている。そんなブドウ畑をプラプラと散歩していると、この時期見かけるの見事に咲いた色とりどりのバラの花。今日訪問したワイナリー近辺のブドウ畑にも、赤、黄、白、ピンクとバラが咲き乱れていた。

さて、このバラは何のために?

最近は日本でもこんな栽培をしている人が多いそうなので、既にご存知の方も多いようだが、このバラは

「害虫予防」

とのために植えられているのだ。

と言っても、害虫を寄せ付けない、とか、バラが害虫を退治してくれるわけではない。ブドウに付きやすい害虫が先にバラに付くため、ブドウに大きな害を与える前にバラが枯れてくる、、、、というわけだ。バラが枯れてきたら害虫がいるに間違いないから、それに応じた処置をしないことにはブドウも育たなくなる。「BIO(ビオ)栽培」のブドウ畑には必ずと言っていいほどバラが植わっているのだ。

シチリアでは非常にバラを植えているワイン畑が多い。だが、全てのワイナリーが「BIO」の称号を持っているわけではない。

「BIOマークを得るためには毎年費用がかかるんだよ。だから僕達は消費者にできるだけ安く届くようにBIOマークは取っていないんだよね。でも、農薬には頼らず頑張っているんだよ。」

そんな小さな生産者もたくさんいるのだ。

ガーデニングで美しく咲くバラとは違い、シチリアの土地に地植えされたバラはゴツゴツとしてまるで木のように逞しく育っている。

「バラ達よ、今年もブドウが害虫にやられず良いブドウが育ち、そして美味しいワインが造れるよう良い頑張るんだよ、、、、」

と、思わず声をかけたくなるほど頑張ってたくさんの花を咲かせていた田舎道のバラであった。
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by lacucinasiciliana | 2012-05-14 03:18 | シチリアワイン

ワインを造りに密着する

9月上旬の話だが、、、。今年はとある小さなカンティーナにて、ワイン造りを毎日覗けるというチャンスにあやかった。ワイナリー見学には頻繁に行くが、いつも見れるのはステンレスのタンクや樽で熟成している姿のみ。運よくワイン造りの季節に行ったとしても、毎日それを見るチャンスはなかなか無い。

今回見学したのはマルサラにある年間生産数10,000という小さな蔵。小さい割りには最新の装置が整っているカンティーナだ。

まず1日目に見学したのは収穫の様子。ここのカンティーナではブドウは100%手摘み。それはブドウに一番ストレスが少ない方法だから。シチリアの収穫は早い品種は8月中旬から始まる。太陽の力が強いため、決して棚にはできないシチリア。背の丈も低いため腰を折ってかがんだり、ひざをついたりとなかなか大変な収穫作業だ。

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収穫されたブドウは熱を持たないように穴が開いたケースに入れられていく。

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6月から全く雨が降らないシチリアでは、収穫が行われる頃は葉も枯れてきたものが目立ってくる。それでも土の中から養分と水分を吸い上げるために頑張ってブドウは糖度と酸度を増していくそうだ。収穫と同時に枯れた葉も切っていく。

こうして手間ひまかけて大事に収穫されたブドウは、圧搾する前に一度冷蔵庫で冷やされる。そして翌日、いよいよワインの原料となるモスト(ブドウジュース)造りだ。

冷蔵庫で冷やされたブドウはまずは枝から実だけを取るためのderaspatorice(デラスパトリーチェ)という機械に入れられる。

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片側からは枝が。

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そして下からは、ブドウの実のみが落ちてくる。

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この時点で少し潰されているため、実、、、というよりはジュースと皮、という感じに近いかもしれない。

この日は白ブドウだったので、この後すぐにモストをしぼるためのプレッサーにかけられる。ちょっと見づらいがプレッサーの中の様子。

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皮がジュースの上にプカプカと浮いているような感じだ。

プレッサーは中にある大きな風船のようなものが膨らみ、その圧力でジュースにするというもの。これもブドウにかかるストレスを少なくするための機械である。さて、そこから出てきたモストを味見させてもらった。

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甘い!!普通想像するぶどうジュースは透明なものだが、しぼりたてのモストは濁っている。

「りんごジュースだって、桃ジュースだって絞りたては濁っているでしょ??」

というのはカンティーナで働く人々。確かに。

しかし、この甘さは尋常ではない、、、と思っていると、

「すごい甘いでしょ?Zibibbo(ジビッボ)だからね。」

これまた納得。

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Zibibboとは甘い甘いデザートワイン、パッシートを造るためのブドウ。ここ数年、シチリアではパッシートを使ったテーブルワイン造りが流行っているが、Zibibboの大半は甘いワイン造りに使われるのだ。

こうして絞られたモストは一旦ステンレスタンクの中に入れられて、まずは7日~10日ほど醗酵される。

そして翌日。昨日飲ませてもらったモストが1日たったものを更に味見。

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甘いことには変わりないが、昨日より少し落ち着いた感じがする。見た目も随分透明になった。それは果肉の部分が下に沈殿したからだ。

あと数日したら、タンクを変えて2次醗酵に入るのだ。

「今年のブドウはどぉ?」

という私の問いに、

「収穫量は少ないけどね、質はすごく良かったよ」

というカンティーナの面々。肥沃な土地と燦燦と照る太陽と気候条件的に恵まれているシチリアでは、「当たり年」なるものが他の地方に比べると少ない。なぜなら「はずれ年」が非常に少ないからだ。毎年比較的安定して生産されるシチリアだが、それでもブドウは自然のもの。毎年毎年心配なのも当たり前だ。

こうして毎日、このモストを味見させてもらったのだが、毎日、状態が違うのが目でも舌でも分かる。ワインとは本当に生き物なのだ、、、と実感。1週間たって、タンクが移される頃には既にすっかりワインとなっていた。アルコール度数はこの時点で13.5度だったそうだ。

このワイン、白だけれども最低1年はステンレスタンクで熟成されるとの事。その後、瓶詰めされてその後、更に半年間休んでから出荷OKとなる。

1年半後にこのワインを試飲するのが今から楽しみだ。
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by lacucinasiciliana | 2011-09-25 22:29 | シチリアワイン

シチリアのワインの雄 カンティーナPLANETA社(プラネタ社)訪問

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「シチリアのワインは安いのに美味しい」

なんていうのは今の常識だが、30年前までそんな事を言う人は誰もいなかった。

シチリアでは長いことワインは「他の地方に売るためのワイン」であった。1970年代にボトルに詰めてエチケットを張って出荷していたワイナリーがどれほどあったことだろうか、、、。その頃、全国展開していたワインと言えばCorvo(コルヴォ)くらいだったのではないだろうか?

1980年代になると、シチリアのブドウの水準の高さに目を付け始めた生産者がチラホラと出てきた。父親の仕事を見てきた息子が、「おらが土地の美味しいワインをボトルに詰めて全世界へ発信するぞ!」と血気盛んになり始めたのだ。その頃がシチリアワイン台頭の夜明けであった。そして1995年創業のPLANETA社はそんな先駆けワイナリーの中で最も成功したワイナリーと言っても過言ではないであろう。

シチリアは夏の太陽に恵まれ比較的安定してブドウが成熟する。「冷害」なんて事も稀にあるが北に比べると極端に少ない。肥沃な大地と夏のギラギラとした太陽でワインの熟成に必要な「糖度」が高いレベルまで上がる。アルコール度数が高いワインは一般的に高品質と言われるが(実際にはそれだけではなく、色々な要素に起因するのだが)、シチリアに育つブドウは元々のポテンシャルが高いため比較的短期間でアルコール度数の高いワインを醸造できるのだ。

今回私が訪れたのはSambuca di Sicilia(サンブーカ ディ シチリア)というシチリア南西部にあるカンティーナ。アランチャ湖という湖のほとりに畑は広がり、非常に風光明媚な場所。

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街のはずれから「PLANETA」と書かれた看板にしたがって延々と誰も走らない道を下っていく。道は整備されていて走りやすいのだが、なかなかたどり着かない。やっとたどり着いた、、、と思ったら、建物の中には誰もおらず、ウロウロしているとワイン醸造部門にたどり着いた。そこで働く人達が担当者を呼びに行ってくれた。

出てきたのはこの方、なんとトラーパ二出身というジュネブラさん。

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PLANETA社は「PLANETA」という苗字を持つ3人の兄弟で運営されているのだが、この日は誰も不在とのこと。PR担当のジュネブラさんが私達のお相手をしてくれる事となった。

「何が飲みたい?暑いから爽やかな白ワインでもいかが?」

と言って、まず試飲させてくれたのが「COMETA」。

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COMETAはFiano種というブドウ100%で作られる、すごくフルーティーな香りのワイン。Fiano種と言えばカンパーニャ州が有名だが、PLANETA社では90年代にFiano種をシチリアで栽培できないか、、、と実験していたところ、このワインが産まれたそうだ。最初のインパクトは爽やかなブドウの香りだが、少し経つとパイナップル香りを非常に強く感じることが出来た。爽やかだけれどしっかりした夏に最適なワインだ。

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その後、プラネタの歴史や現状、そして将来望む事などなど、、、をおしゃべりしながら合計6種類のワインを試飲した。中でも一番気に入ったのは「PLUMBAGO」という名の赤ワイン。Nero d'Avola100%だがタンニンは感じず、とっても柔らかい口当たり。暑い暑いシチリアの夏にも似合うワインだった。

しっかりと試飲をした後はすぐ近くにあるカンティーナへ。

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このカンティーナの地下にはシャルドネの樽を寝かしている蔵があった。

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PLANETA社はシチリアの西南部、メンフィという街の近くに2箇所、その他シチリア南東部のヴィットリアとノート、現在はエトナ山の近くでも黒ブドウの栽培を試しているという。栽培するブドウの品種によって土壌を選んでいるそうだ。カンティーナが数箇所に分散しているせいか、年間出荷量に比べるとそれほど大きい、、、という感じでもないが、機械は最新式のものが揃っていた。

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カンティーナを出るとまばゆいばかりのシチリアの太陽。時、既に18:00過ぎ。

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カンティーナのすぐ近くにはMerlot種のブドウが栽培されていた。

PLANETA社はもちろん名前も知っていたし、ほとんどの種類のワインを今までに飲んだのだが、こうしてワイナリーで裏話を聞きながら飲むワインはまた一味違うものだ。PLANETAの他のワイナリーも見てみたい、、、という気分になった。

トラーパニから約1時間半の道のりのPLANETA社。エノツーリズモを充実させようと思っているラ ターボラ シチリアーナ、PLANETA社訪問のプランを追加しようかと思っている。
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by lacucinasiciliana | 2011-08-03 16:21 | シチリアワイン

8月10日San Lorenzo(サン ロレンツォ)は夜空を見上げる日

8月10日、San Lorenzaoの日は夜空を眺める、、、、そんな習慣がイタリアにはあります。この時期、出没する流星群、それを見るために海岸や田舎の光が少ない場所に皆で集い、流れ星に願いをかける、ロマンチックですよね。去年は海沿い30分間夜空を見上げていたところ、3つの流れ星をキャッチ!確か8月13日ごろだったと思います。(毎年ちょこっとずつずれるんです)

今年は、カンポレアーレという小さな街にあるカンティーナ「Alessandro di Camporeale」で行われたイベントに行ってきました。

KAID sotto le stelleと名づけられたこのイベント、まさにワインを飲みながら、おいしいものを食べながら、星を眺めよう!という企画でした。

トラーパニから約80キロガタゴトガタゴト、、、田舎道を通ること約1時間。やっとたどり着いたカンティーナでは既にワインの試飲が始まっていました。

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既に集まること100人以上!ワインブースにも列、、、じゃなくて、イタリアお決まりの団子状になって群がる人達(笑)こういうときは遠慮は無用です!ガンガン割り込んでいきます(笑)

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最初に試飲したのはこちら→

Catarrratto(カタラット)種というシチリア土着ブドウ100%で作られたBENEDE'という白ワイン。カタラット種は酸味が強いワインで、他の品種に酸味を加えるためにブレンドする、、、というイメージ。私の中では単種ではそれほど美味しい!という印象ではなかったのですが、、、。このワイン、口に含んだ瞬間、フワ~っとフルーツの香りとハチミツの香りが広がるんです。この甘みはブドウを完全に熟してから収穫することでブドウ自体の糖度をMAXまで持っていくことで実現可能となるらしいです。先月訪れたカンティーナでも、バリック(樽)熟成の美味しいカタラット種100%のワインを飲んだのですが、どんどん技術は進化しているのですね~、、、。


ここのカンティーナで造っている白ワインはこれ一種のみ。赤はSYRAH(シラー)種100%、Nero D'Avola(ネロ ダヴォラ)種100%の2種を造っています。白も美味しかったですが、赤も力作でした。まだまだ若いカンティーナで規模もそう大きくないためか、丁寧に作っているワイン、、、というのが全体的な印象でした。(赤の写真は撮り忘れました!)

さて、お楽しみの食事です!

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まずはアンティパスト。ミニパニーニ、クスクスサラダ、カポナータ、ペペロナータ、別ブースではチーズを提供していましたが、どのブースもすんごい人だかり!!上の写真は、並べてはあるものの「まだ取っちゃダメヨ」と言われ、みんなが指をくわえて待っている図です(笑)

f0226106_17462321.jpgチーズブースの横っちょでは出来立てリコッタも作っていましたが、、、。みんな、てんこ盛りのアンティパストにつられ、リコッタブースは寂しい感じになっていました(苦笑)という私達もすっかり忘れてしまい、、、。あ~、フワフワのおいしい羊リコッタ、食べ損ねました!

この後、パスタが2種ほど出てきて、その後は焼肉大会!!!サルシッチャ(イタリアの生ソーセージ)とシチリア風スピエディーニが巨大なBBQセットみたいので炭火焼きにされていました。それはそれは豪快でしたが、、、既におなかイッパイですよ(涙)

その後、ドルチェも山盛り!そして、このカンティーナで作っている珍しい甘いワインが振舞われたわけですが、、、。

「珍しいワイン」というのはシラー種のタルディーヴァ(遅い収穫)。赤のタルディーヴァ(これについてはまたいつか、、、)は結構珍しくて、是非飲みたい!と思っていたのですが、満腹&眠い、、、で、辞めておきました。いつか、このカンティーナにゆっくりと見学に行って試飲させてもらいたいと思います。


生演奏やフラメンコダンサーが入っていたこの企画、意外と面白かったです。そして何よりも、流れ星を今年も見た!私は会場内をフラフラしていたので見たのはたったの2コですが、同じ席で空を見上げていた人達は10個以上見たらしいですよ~。イタリア人、なかなかロマンチックですね~。

21:00から始まったこのイベント、お開きになったは2:00位だったとの事。私は先に帰っちゃいましたけどね、、、(汗)食べ物と遊びに情熱を傾けるイタリア人、さすがタフですっ!(笑)

「シチリア料理研究家佐藤 礼子のボーノな毎日!」もヨロシク!
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by lacucinasiciliana | 2010-08-10 19:26 | シチリアワイン

創業1824年、超老舗のシチリアワイナリー Duca di Salaparuta(ドゥーカ ディ サラパルータ) 

私が始めてシチリアワインと出会ったのは、イタリア料理店で働き始めた十数年前の事。当時はシチリアワイン、といえば「Corvo(コルヴォ)」が定番。私の記憶では、他のシチリアワインはほとんど見かけず(いや、あったのでしょうけどね)、南イタリア料理屋さんにCorvoは欠かせないワインだったのです。

それから20年近く(!)が経った今、、、私、このCorvoを作るワイナリーDuca di Salaparutaから車で1時間半くらいの場所に住んでいるのです。Duca di Salaparutaはパレルモ近郊にあります。先日近くに行く用事があったので、ふっと思い立って寄ってみました。

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Corvoがあまりにも有名ですが、ワイナリーの名前は「Duca di Salaparuta(ドゥーカ ディ サラパルータ)」。Corvo以外のワインも色々と生産しています。

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→こちらが創始者のDuca di Aalaparuta(サラパルータ公爵)。なんともオヒゲが印象的なお方です。当時、ワイナリーのあるパレルモ近郊の田園地帯では、街(パレルモ)の貴族達が田園地帯に農場を開拓するためにどんどん郊外に館を建て始めていました。パレルモ近郊の盆地は「Conca d'oro(コンカドーロ)=黄金の盆地」と呼ばれ、肥沃な大地と豊かな水で、農地に適していたそうです。こんな土地で、「自らの館でお客様をもてなすために美味しいワインを、、、」、とワイン造りを始めたのがワイナリーの始まりだそうです。創業なんと1824年!今年は2010年なのでなんと186年の歴史です。。。。

当時、各国の大使や、貴族、重要なお客様を迎えて美味しいワインを振舞ったサラパルータ公爵。招かれた人達はそのお礼として、振舞われたワインを各国に輸出し始め、こうして「サラパルータワイン」はヨーロッパ各国に名前が広がって言ったそうです。

代が変わって息子の代、2代目になると、これまたどんどん拡大して、イタリア国内だけではなく、アメリカ、南アメリカ、オーストラリア(!)にも輸出。合計10万本のワインを売るくらいにまで成長したそうです。フランス人の醸造家を招きワインの質の向上に努めたサラパルータワインは、後々、ブリュッセル、ロンドン、パリ、マルセイユ、ローマなどで行われていたコンテストでも賞を総なめするようになったそうです。

とこんなに絶頂期を極めたサラパルータワインですが、時が移れば情勢も変わるもの。第二次世界大戦などの影響で運営が難しくなり、結局1959年、州が運営するようになり、現在はアマレットで有名なILLVA Saronno社のホールディング会社の一員となっています。

あら?どこかで聞いたようなこの話、、、、。そう、マルサラワインの雄Frolio社(フローリオ社)も同じような経緯をたどってILLVA Saronno社のホールディング会社の一員となりました。という事で、Frolio社とDuca di Salaparuta社は現在兄弟会社、という事で運営しています。

本日のご案内役、Viviana(ヴィヴィアーナ)さん。生粋のパレルモっ子だそうです。

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地図を見ながらブドウ畑がある場所を説明してくれました。赤ワインに使われるブドウは主に東のエトナ山近辺、南東部のヴィットーリア近辺、白ワインに使われるブドウはトラーパニ県やアグリジェント県、その他、ブドウの品種にあった土地を探して栽培しているそうなので、シチリア全土にブドウ畑が広がっているそうです。

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棚いっぱいに並ぶ古いワイン。昔のラベルの割には随分オサレ。今でも十分通用しそうなデザインです。

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Corvoが貯蔵されている樽。オークの樽を使っているそうですが、バリック(樽)効果を期待して樽に保存しているわけではないらしいので、樽は何十年でも使うそうです。

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こちらはCorvo以外の樽熟成ものが並んでいます。こちらはフランス製樽(バリック)。棚は丸くなっていて樽が回転できるようになっています。このシステムは常に同じワインがが栓の近くに存在していることを避けるためのシステムだそうです。栓の近くには若干(本当に少ーーーーーしですが)の空気が入り込むため、こうして樽を回転させることで一箇所のワインだけが空気の危機に触れることを避けるためです。右に左に30度ずつ傾けるんだそうです。

さて、タップリと説明を聞いた後は、お楽しみの試飲タイム!

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Corvoを、、、とも思ったのですが、今日は飲んだこと無いものを試飲させてもらいました。

■ KADOS(カドス)
Grillo(グリッロ)種 100%
サレミ(トラーパニ県)の300m地帯で栽培

第一次醗酵の段階で55%のモストをオークの新樽にて40日ほど、ゆっくりと醗酵させるそうです。その後は、セメントの樽で熟成期間に入るわけですが、最初に樽を通っているからか、軽く樽香、、、というか、甘い香りがします。(バニラn香り、とか良く言いますけどね)白ですがしっかりとした白ワインなので、鶏肉のグリルにレモンをタップリ絞った一皿なんていうのが合うのではないでしょうか??

私が初めてCorvoに出会った頃、トスカーナやピエモンテの高価なワインが主流だった日本。かつて大量生産が主流で、ワインを造るためのモスト(ブドウジュースの状態)としてシチリア以北の州に送られていたシチリアワイン。(サラパルータワインなんかは別として)ところが1980年代以降、シチリアワインは若手の生産者が「高品質なシチリアワイン造り」を目指し始めて、どんどん改良され、ステキなエチケットを付けて販売されるようになったシチリアワインは、もはや「シチリアワイン=お手頃価格の高品質ワイン」というイメージを持たれるようになるまで成長したのです。

2年前のある日、とあるレストランでテーブルに運ばれてきたワインを見ると、、、Corvo(コルヴォ)。日本で飲んだ時は特別な印象がなかったCorvo。15年ぶりの再会だったわけですが、これがなんと美味しいじゃありませんか、、、。ここ15年間の技術の進歩は目覚しいものがあるのでしょうね。

ワイン大好き!の私ですが、このブログではワインネタがまったく無かったことに気が付いた私、、、、(汗)これからはワインネタもちょこちょこ登場させようかと思っています。

3つのブログを抱え、更新が鈍ってきています(汗)このブログは私のライフワークとして、「食の記録」を残して行きたいと思っています。他のブログに比べ、ひとつのエントリーを書くのに時間がかかるため更新はゆっくり、、、となっていますが、辞めたわけではありませんよーーーーーー(笑)末永くよろしくお願いします♪

★以前ワールドフォトクリップお世話になっていた朝時間.jpに、心機一転、朝時間.jpの公式ブログとして連載をスタートすることとなりました「シチリア料理研究家佐藤 礼子のボーノな毎日!」というタイトルで、シチリアにこだわらず料理研究家としての私の朝を皆さんにお届けします。ということで、ブログは3つではなく4つになっています、、、(汗)いずれもどうぞ宜しくお願い致します♪ 
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by lacucinasiciliana | 2010-08-09 18:28 | シチリアワイン