カテゴリ:オリーブオイルのお話( 30 )

新年オリーブオイル談義

先日、Venvs et Salvsのオリーブオイル生産者アルベルト氏の事務所に、3月に行われるオリーブオイルセミナーの打ち合わせのために足を運んできた。10月のオリーブ収穫期から年末にかけては非常に忙しいアルベルト氏。なかなか細かい打ち合わせも難しいのだが、年明けは年に数回の時間に余裕がある時期らしく、午前中を費やしてじっくりと第一回目の打ち合わせをしてきた。

今回のオリーブオイルセミナーのお題は、

「欠陥オリーブオイルを見分けよう」

欠陥オリーブオイル、、、というと、ちょっと引くかも知れないが、これこそ美味しいオリーブオイルを見分けるための第一歩。欠陥オリーブオイルがどんな臭いがして、どんな味がするかを知らずしては、美味しいオイルを見分ける事も難しい、、、という訳だ。アルベルト氏にとっても私にとっても、ここに辿り着くために1回目、2回目のオリーブオイルを開催したと言っても過言ではない。今回だけ参加したとしても、今後色々なオリーブオイルを試飲するにあたって非常に有益だと思われる。

という事で、打ち合わせの内容もおのずと欠陥オリーブオイルの話となった。どんな欠陥があるのか、それは何に由来するのか、、、私も今までの実地訓練と2010年に受けたオリーブオイルテイスター講習で色々と勉強してきたが、今日アルベルトが生産者の立場から説明してくれた内容は、経験上積み重ねてきた知識であって机上の空論ではなく目からウロコの事実も多かった。

そんな中、昨日、私の友人であるラツィオ州の生産者から電話がかかってきた話をした。実はこの生産者、

「2010年のオリーオイルをアルベルト氏に試飲してもらって感想を聞かせてほしい」

と、頼まれ、去年、私とアルベルト氏でラツッィオから送られてきたサンプルを一緒に試飲した。それは、私にでもすぐに分かるほどの「欠陥オリーブオイル」だった。

そして昨日の電話で、

「今年はコンサルタントを頼んで、フラントイオ(搾油所)を変えて、ブレンドも変えてみた。」

と言っていたのだ。そのコンサルタントはアルベルト氏と私の共通の友人でもある。それをアルベルトに伝えると、

「ふ~ん、2011年のオイルを是非試飲してみたいものだね。」

「でもフラントイオを変えれば、どう考えたって少しは改善されるんじゃないの?おととしまでのフラントイオは古い機械だけど、今年のところは新しい機械だ、って言っていたし」

という私の短絡的な意見に、

「新しいマシーンはね、それを操る人が優秀じゃなければ、古いマシーンで作るより良くないオリーブオイルが出来る事も多々あるんだよ。オリーブの状態だって様々だからね。それを見極めて作らないと。僕のフラントイオの最新マシーンはうまく使いこなせば、そりゃ極上オリーブオイルが出来るわけだけれど、僕は古いマシーンでも極上オイルを造る事ができるんだよ。でも、そのためには最新マシーンで作るより、もっともっと色んな事に気をつけなければならないだろうし、精神的な負担は大きいけれど。古いマシーンでもそれを操る人が優秀だったら、良いオイルが造れるんだよ。」

アルベルト曰く、オリーブオイルはF1に似ているのだと。例えば、いくら車がフェラーリだってそれを乗りこなすドライバーがいなければ勝つ事はできない、と。フェラーリ(最新のマシーン)とそれを乗りこなすドライバー(マシーンを操る優秀は生産者)が合致したときに勝つ事ができるのだと。

「それにね、オリーブオイル造りに一番大切なことは”信念”みたいなものなんだよ。コンセプトなきオリーブオイルは個性が無い。どういうオリーブオイルにしたいのか、イメージする事がすごく大切なんだ。そして、まずはそのイメージに近いオリーブオイルが出来るようなオリーブを育てる事が大切。そしてイメージ通りにオリーブが育ったら、次はそれをどうやって搾油するか、、、そんな事をいつもイメージしながら造るんだよ、オリーブオイルは。」

ちなみに私達が展開するオリーブの木オーナー制度Venvs et Salvsのオイルはどんなイメージだろうか、、、。私が思うに「広大な草原に立つ白いヴェールをかぶった女神、そして後ろにはうっすらと青い海が見える、、、」、そんな感じか。アルベルト氏に聞くのを忘れたが次回聞いてみたいと思う。

自然と人間の知恵の産物であるオリーブオイル。醗酵という過程がないためワインほど複雑ではなく、それが故にその年のオリーブの状態が非常に品質を左右するものだ。そして状態の良いオリーブを育てるために、生産者達は1年中手入れを欠かさずにオリーブの木を愛でるのであった。

2011年は私にとっては「オリーブオイル年だった」と言っても良いほど、オリーブオイルにどっぷりと浸かった1年だった。そんな中でムクムクと湧いてきた私の野望、それは

「自分でオリーブオイルを造ってみたい」

自分がイメージするオリーブオイルを作るために、自分で苗を選び、育て上げ、いつしか「自分の理想のオリーブオイル」を造ってみたい、と思うようになった。自分で造ってこそオリーブオイルの真髄が分かるような気がしてならないからだ。

オリーブの木には不思議な魔力がある、、、

そんな話を聞いた事がある。私もその魔力に慿りつかれてしまった一人なのかもしれない。
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by lacucinasiciliana | 2012-01-06 19:20 | オリーブオイルのお話

第3回Venvs et Salvsオリーブオイルセミナーを開催します!

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第3回目を迎えるVenvs et Salvsオリーブオイルセミナーは今回が完結編!
テーマは

「欠陥オリーブオイルと優良オリーブオイルを見分ける!」

今回のこのテーマにたどり着くために、1回目、2回目とセミナーを開催してきました。それくらい私達にとっては重要なテーマ。何故なら、、、、

「多くの欠陥オリーブオイルが市場には出回っているから」

今、世間で「オリーブオイルが体に良い」と言われていますが、それは「欠陥のないエキストラバージンオイル(一番絞りのオイル)」に限って言えることです。オリーブオイルが体に良いからと言って、欠陥オイルを摂取し続けたら返って逆効果になってしまいます。

そして、もはや山ほど輸入されているといってもいいイタリアのオリーブオイル。その中からお気に入りの1本を見つけるためにも「欠陥オイル」がどんなものであるのかを知っておくべきだと。

オリーブオイルを良く分かるための第一歩なのに、何故か日本ではなかなか勉強する機会も少ないのが現状です。

今回もシチリア島から熱血オリーブオイル生産者アルベルト・ガッルッフォ氏を招いて、欠陥オイルについて一緒に勉強します。

セミナーでは

- 欠陥オイルとは何か
- 欠陥オイルが出来る原因
- 欠陥オイルはどんな味がするか
- 欠陥オイルと優良オイルを見極める方法


こんな事を、検証していきます。

* 数か月前に開けたけれどまだ使えるのかしら、、、?
* いつも私が使っているオイル、これって本当に優良オイルかしら?

などなど、疑問に思っている方はいらっしゃいませんか?このセミナーを受講すれば、ご自身で見極める事が出来るようになります。

更に!

今回のセミナーは「アルベルトのオリーブオイル診断付き」

オリーブオイルスペシャリストのアルベルト・ガッルッフォ氏が、皆さんの家からお持ち頂いたオイルを鑑定します。いつも使っているオイルに疑問がある方は是非、お持ちください。(もちろん持ってきていただかなくても大丈夫です)

欠陥オイルの後は、極上Venvs et Salvsのエキストラバージンオリーブオイル2011年バージョンを皆で試飲しましょう。2011年に参加された方、又オーナーの皆さんは、2010年のオイルとどう違うか、何故違うか、アルベルト氏から今年のオリーブ畑の状況を聞きながら、皆さんの意見と照らし合わせてみてください。初めて参加される方は、Venvs et Salvsのオリーブオイルを試飲できるチャンスです。

そして今回、お楽しみのセミナー後のお食事は、南イタリア料理店ピノサリーチェの女性シェフ柳 令子さんが奏でる料理をご堪能下さい♪ 柳さんはシチリアの某有名リストランテで働いた事もある南イタリア料理を知り尽くすシェフ。、Venvs et Salvsオリーブオイルを生かした料理をお楽しみ下さい。それと同時にオリーブオイルスペシャリスト アルベルト氏の生産者ならではのオリーブオイルの現場のお話もじっくりとお楽しみ下さい。

セミナーはもちろん、1回目、2回目と参加していない方もご参加が可能です。(セミナーの内容はそれぞれの回で独立しているので、前回に参加していないから今回の内容が分からない、、、という事はありません。)
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第3回Venvs et Salvsオリーブオイルセミナーご案内

日時・・・3月3日(土)
開催場所・・・ピノ・サリーチェ(渋谷)
東京都渋谷区鶯谷町15-10 ロイヤルパレス102号
TEL. 03-3496-3555
(オリーブオイルセミナーに関してのお問い合わせは電話にて受け付けておりません)

昼の部 / 11:00~14:30
夜の部 / 18:30~22:00 →満席になりました
*開場は15分前となります。
参加料金 16,000円

* セミナーは約2時間、食事が約1時間半となります。
* キャンセルは2月10日までとさせていただきます。
それ以降はキャンセルを承る事が出来ませんが、
ご連絡いただいた方以外の方にご参加いただくことは可能です。
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<お申し込み方法>

・お名前
・人数

をご記入の上、

mail★venusetsalus.com(オリーブオイルセミナー担当/宮川):★→@に変えてください。

までご連絡下さい。

今回で完結編のVenvs et Salvsオリーブオイルセミナ。3月に皆さんとお会いできる事を楽しみにしています!
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by lacucinasiciliana | 2012-01-04 15:38 | オリーブオイルのお話

オリーブオイル、やはり奥深し。

今朝、このブログではお馴染みのトラーパニのオリーブオイル生産者アルベルト・ガッルッフォと打ち合わせがてらに朝食を一緒に取った。

打ち合わせの前に世間話をしている間に、話題は

「オリーブオイルのテイスティグ」

という、まじめな話になった。

オリーブオイルは、皆さんご存知の通り

「オリーブを収穫して絞ったジュース」

である。(注:ここで言う”オリーブオイル”とは”エキストラバージンオリーブオイル”のみを指す)

イタリアには数百種類のオリーブの木が植わっていて、その土壌、その年の気候、手入れ方法、そして収穫時期、どのような機械を使ってどのように絞るか、などなど、数え切れないほどの条件によってオリーブオイルの味は大きく変わってくるのである。

「オリーブオイルのテイスティングはね、本当に本当に難しいんだよ。オイルを評価するには、オイルの中から、様々な条件を仮定してどうしてこのような味になったのかを想像しなければならないわけでさ。自分の畑なら自分が管理しているから、絞る前から大体の想像は付くけれど、イタリア国外だったりどんな畑かも分からないようなオリーブオイルを評価するには、本当に長い長い間の経験と訓練が必要とされるんだよ。」

アルベルト曰く、オイルをテイスティングしてすぐに分からない事もあると。そんな時は、30分でも1時間でもじっくりとそのオイルと向き合うそうだ。

と、そんな話になったのは、先月、オリーブの木オーナー制度Venvs et Salvsのオイルをフラントイオ(搾油所)で私一人でテイスティングした、、、という話が発端だった。

確かその時はアルベルトを訪ねて行ったのだが、彼に急用が出来たという事で、フラントイオ稼働中のザワザワした雰囲気の中、一人精神統一を図るべく努力しつつテイスティングをしてみた。そして、昨日、1ヶ月ほど自然ろ過されて瓶に詰められたVenvs et Salvsのオイルを家で静寂の中、一人でテイスティングしてみた。そうしてみたところ、全く印象の違うオイルに感じられたのだ。そこでアルベルトに今年のVenvs et Salvsのオリーブオイルの感想を聞いてみたのだ。それは私が昨日感じた意見とほぼ同じだった。

オリーブオイルのテイスティングはその環境に寄ってもすごく左右されるのだ、と体感した。

アルベルトはオリーブオイルをテイスティングすると、その風景が頭の中に広がってくると言う。どんなところで、どんな土壌で、どんな品種で、どんな気候で、どのように育てられたか。そして、どのくらいの時期に収穫して(どれくらいオリーブが熟していたか)、どのような方法で搾油されて、、、そんな事が頭の中にパパパパっと浮かんでくるらしい。それは彼が自分でオリーブの木を育て、365日オリーブの木と、そしてオリーブオイルと真剣に向かい合っているからだろう。

「オリーブオイルを良く分かるには、訓練が必要なんだよ。」

イタリアの中でもたくさんの名の知れたオリーブオイルテイスターがいるが、その中でも優秀なのは本当に一握りだという。そしてオリーブオイルを理解するには、やはり畑にも足を運ばないと理解する事はできない、とも。何故ならオリーブオイル造りにおいてなによりも大切なのは

「健康なオリーブの実を育てる事」

だからだ。元々のオリーブの状態が良くなければ、どんなに最新のマシーンを使って絞ったからと言って、良質のオリーブオイルができるわけではないから。

知れば知るほど奥が深いオリーブオイル、、、、。オリーブの木は人にエネルギーを与えてくれる不思議な存在だと信じる私。これからもライフワークとして勉強、そして訓練を続けて行きたいものだ。
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by lacucinasiciliana | 2011-12-17 18:14 | オリーブオイルのお話

収穫したオリーブオイルを絞る

さて、ドミンゴ家で収穫したオリーブは家でオイルにする??

オリーブオイルを造るための搾油所は個人レベルで揃えられる設備投資ではない。(数千万~億単位のところも)なので、市の中にいくつか、共同の搾油所がある。これも市営ではなく個人で経営されているのだが、そこに持っていってオイルにしてもらい、それを自ら引き取りにいくシステムだ。ドミンゴ家は畑から車で約10分ほどのところにある搾油所に毎年持っていく。

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小さくコンパクトながらなかなか清潔な感じがするフラントイオ(搾油所)だ。

ここに持っていくと、まずは大きな入れ物にオリーブは移される。

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後は自分の番が来るのを待つ。一応電話で予約を入れてから行くものの、待ち時間は長い。

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ひたすら待つ、待つ。待ち時間を利用して、よそ様のオリーブを覗いたり、搾油システムをじっくり見学したり。

最近のフラントイオは完全真空システムをとっているところが多いため、オイルができるまでの途中経過が見れないところも多い。ところがこういう村のフラントイオは10年以上前の機械を使っているところも多いため、途中経過がチョロチョロと覗けるところも面白い。例えばここ。↓

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オイルを抽出するのには2つの違うタイプの遠心分離機にかけるのだが、これは第一段階の遠心分離機にかけた後。奥がオリーブの中に含まれる水分で、手前がオイルだ。通常、この辺もフタがしてあったりして見えないところだが、いかに水分の量が多くオイルの量が少ないか、お分かりいただけることであろう。

そして待つこと約1時間半。私達の番がやってきた。

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大きな入れ物2個分、約1000キロのオリーブだ。

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オリーブはまず、枝や葉を取る機械にかけ流水で洗浄。その後、オイルと水分を分離しやすくするために攪拌される。攪拌中にはどこに誰のものが入っているかわからなくならないよう、名前が書かれている。その後、2回の遠心分離を経てようやくオイルとなって出てくる。その間約40分程度、、、、。

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絞りたてのオイルはこんなに美しい色をしている。そして絞りたてオイルは温かく最初出てくるときには湯気が見える。緑とも黄色とも言えない絞りたてエクストラ バージン オリーブオイルは、まだ少し濁っている。これをしばらくタンクに入れて放置して自然ろ過させる。いわゆるノンフィルター方式だ。

オリーブオイルが出るのを、持ち帰りようの小さなタンクに詰めながら見ること約30分。至福の時間だ。

こうして出てきたオイルは今回の分だけで165リットル。車に乗せて家に持って帰り、大きなタンクに移すのだ。

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今年、ドミンゴ家で収穫したオリーブから絞られたオリーブオイルは総量で225リットル。このオリーブオイルは売るわけではないので、一家で消費するオリーブオイルの量としては十分すぎるくらいの量だ。

こうして今年のオリーブ収穫は終了した。

この時期、シチリアの田舎をドライブしていると、あちらこちらでオリーブの収穫風景に出会う。それは大半が家族で使うオリーブオイルの収穫だ。シチリアの人達にとってはオリーブオイルは非常に身近な存在であり、自家製オリーブから絞ったエキストラ バージン オリーブオイルを使っている家庭も少なくない。彼らにとっては当然、

「オリーブオイル=エキストラ バージン オリーブオイル」

であり、日本でいうところの「オリーブオイル(かつては”ピュア”と呼ばれていた)」の存在を知らない人も多い。そして、エキストラ バージン オリーブオイルが家庭に大量にあるわけだから、あえてスーパーでサラダ油を買ったりなどもあまりしない。なんという贅沢なんだろうか。

お金では買う事のできない「贅沢」を垣間見ることが多いシチリアでの生活。こういうことが本来の豊かさなのでは、、、、と、考えさせられる今年のオリーブ収穫であった。
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by lacucinasiciliana | 2011-11-03 23:16 | オリーブオイルのお話

1年に1回の伝統行事!家族で行うオリーブの収穫@ドミンゴ家

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久しぶりの更新となったのは、この時期、オリーブの収穫で忙しかったから。

私のパートナーの家族、ドミンゴ家には150本のオリーブの木を所有している。毎年、この時期になると家族総出で収穫をし、家族と親戚が使う分のオリーブオイルを造るのだ。

今年、召集がかかったの10月下旬の日曜日。その日はあいにく都合が悪くて参加できなかったが、150本のオリーブの木の収穫はすべて手摘みで行われるため、到底1日では終わらない。今年は計4日かかっての収穫となった。

小高い標高200メートルほどの丘にあるオリーブ畑は、あたり一面の絶景。空気もとっても澄んでいて体が浄化される気さえする。

朝7:30、各自それぞれでオリーブ畑へ向かう。収穫の時に下に敷くネットや収穫したオリーブを入れるためのケースを持ってくるのはパパの仕事。マンマはパニーニ、フルーツ、水などのお弁当をたっぷりと持ってくる。到着した人から収穫を始める。収穫はおしゃべりをしながら、冗談を言いながら、疲れた人は一休みしながら、、、ノンビリと和やかな雰囲気で行われる。

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この日収穫した場所は、パパのそのまたお父さんが80年前の植えたというオリーブの木。150本のオリーブの中には、ここの畑の様にパパのお父さんが植えたもの、パパが種から生えてきたオリーブを接木して植えたもの、苗を買って植えたもの、、、などなど、様々なオリーブの木が植わっている。

「オリーブの木は僕の子供だからね」

というパパは、この畑がある土地で生まれて、このオリーブの木達と一緒に人生を歩んできた。パパはどんなに辛い時でも、オリーブの木が元気な実を付け、スクスク育っていくのを見ると、がんばろう、という気になった、と語っていた。

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そしてオリーブの木は今年も宝石のようにキラキラと輝く実を付けてくれた。

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朝早くから収穫を始めていたパパと孫のダリオはちょっと一休み。

毎年、なんだかタイムスリップしたような、映画のワンシーンをみているかのようなドミンゴ家のオリーブの収穫。

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11:00頃になると、

「ゴハンよ~」

というマンマの掛け声で、オリーブ畑でのピクニックが始まる。

色々な種類のサラミ、プロシュット、チーズ、、、、それに大量のパン。各自が自分で好きなものを挟んでパニーニを作って食べる。食後にはフルーツ、そしてカッフェ(!)もきちんと持ってきているところが、さすがイタリア。

食べ終わって一休みすると、誰からともなく、また収穫に戻って行く。

こうして午後4時まで収穫は続き、1日の収穫が終わる。1日に大体30本~40本くらいが収穫できるから、収穫は大体4日~5日。毎日連続で収穫するわけでもなく、期間と収穫日数は毎年、実の付き方と天候によってそれは変わる。

1年に1回のオリーブ収穫は言ってみればお祭り。ランチがオリーブ畑でパニーニと軽いこともあるが、収穫後の夜ご飯には、ご馳走が待っている。これがいわゆる「収穫祭」であったのだろう。今年も実がたくさん成ったことを祝し、そして皆が元気で収穫できることに感謝する。東京に住んでいるときにはこんな事は考えもしなかったことだ。そして、ご馳走をきちんと早朝に用意してから皆と一緒の時間にオリーブ収穫にやってくるマンマにも感謝する。

家族での収穫は、生産者のところで行われる収穫とはまた一味違って非常に楽しみな行事の一つ。80年、オリーブと共に生きるパパとのオリーブ談義はとても楽しく、本当に勉強になる。先人の知恵というものは素晴らしい。私にとってはオリーブを肌で感じ、そしてシチリアを肌で感じることができる、大きな意味を持つドミンゴ家のオリーブの収穫。今年も参加できたことに感謝。
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by lacucinasiciliana | 2011-11-02 19:43 | オリーブオイルのお話

Venvs et Salvsオリーブオイルセミナー@東京2011年秋 レポート

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少し前の話だが、10月8日(土)、東京芝にある料理王国アカデミーサロンにてVenvs et Salvs(ヴェヌス エ サルス)の第2回目となるオリーブオイルセミナーを開催した。

第1回目は、まずは

「オリーブオイルとは何であるか」

そんな事を知ってもらうべく、オリーブの木について、オリーブオイルの作り方、試飲の仕方、、、とにかく基礎知識をわかってもらう、という事がメインのセミナーだった。そしてその後は、美味しいオリーブオイルを使ったシチリア料理を堪能してもらうことで、オリーブオイルの使い方を知っていただく、それが目的だった。

第2回目となった今回のセミナーはもう少し踏み込んで、

「イタリアの各地のオリーブオイルの特徴を知り、適した食材と合わせる」

そんな事を目的としたセミナーであった。

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まずは、オリーブオイルの分類や、ラベルの読み方、続いてイタリア各地のオリーブの木とオリーブオイルについて説明する事、約1時間。その後はイタリアを代表するオリーブオイルの生産地、

・リグーリア州
・トスカーナ州
・ラツィオ州
・プーリア州
・シチリア州

5地方5種のオリーブオイルをテイスティング。その後は、実験だ。

「どこそこ地方のオイルとこの食材は良く合う」

そんな説明を良くする。が、果たしてそれは本当だろうか?今回は、5地方のオイルと、

・野菜
・豆
・魚
・肉

これらを簡単に調理したものを各自で合わせて、オリーブオイルスペシャリストのアルベルト・ガッルッフォ氏の指南により、検証していく。

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検証はしていくがそこに正解はない。なぜなら、

「五感はそれぞれ感じ方が違うから」

いくらスペシャリストが「これとこれは合う」と言っても、自分はそう思えないかもしれない。もちろんガイドに従って検証していったほうがわかりやすいが、今回の目的は、それぞれが各自の五感をフルに使って、

「感じてもらうこと」

だった。こうして訓練していくことでオリーブオイルへの理解が高まっていくと私は思っている。

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1回目に続き今回も色々な質問が出てきたが、なんといっても自然の産物であるオリーブオイル。なかなか「こうだ」と答えるのも難しい世界。そんなオリーブオイルの世界であるが、30年という長い経験とそれに基づく深い知識を持つアルベルト氏と、日本人としてシチリア、そしてイタリアのオリーブオイルの世界を見続けている私の知識と日本人ならではの着眼点、2人合わさると少しは分かりやすく説明できるのではないか、、、そんなことも思う。

時折するアルベルトからの質問に、すごく的確な意見をおっしゃる参加者の皆さんに驚き、1回目にも増して参加してくださった皆さんの非常に熱心な姿とっても印象的だった。

せっかくシリーズ化してきたVenvs et Salvsオリーブオイルセミナー、アルベルト氏も私も是非第3回目を開催したいと思っている。
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by lacucinasiciliana | 2011-10-29 00:48 | オリーブオイルのお話

オリーブの木オーナー制度Venvs et Salvsのオリーブ畑、収穫が始まる

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月曜日の夕方、アルベルトから電話がかかってきた。

「明日からVenvs et Salvsのオリーブ畑、収穫始めるよ!」

毎年、10月下旬~11月上旬にかけて収穫してきたオリーブの木オーナー制度Venvs et Salvsのオリーブ畑、今年は一足お先に、、、といった感じで収穫が始まった。

オリーブの収穫は毎年、ギリギリになるまで予想が立てられない。何故なら、

「毎年気候条件が違うから」

Venvs et Salvsの畑はシチリア、いやイタリアでも優秀なオリーブオイル生産者として知られる、アルベルト・ガッルッフォ氏が18年かけて手塩にかけて育ててきたオリーブ畑。シチリアは毎年6月~8月まで一滴も雨が降らないことが多いのだが、それでも手入れされた畑は地下にある水をオリーブの木ががんばって吸い上げ、9月の雨を待つ。そして9月になると恵みの雨をたっぷりと浴びて夏の間にシチリアの太陽をたっぷりと浴びたオリーブ達はグングンと成長する。

ところが今年は、9月いっぱい雨が降らなかった。

その上、10月上旬には30度を超える夏日が続いた、、、。オリーブにとっても最悪の条件だった今年のトラーパニ地方。

「今年は大量のオリーブが成っていたにもかかわらず、水に恵まれなかった。18年間、水をあげたことがないVenvs et Salvsのオリーブ畑だけれど、今年はオリーブ達があまりにも辛そうだから初めて少しだけ水遣りをしたんだよ。」

と、アルベルト。

「少しだけ」というところがこれまたポイントだ。収穫ギリギリになって水をあげ過ぎると、オリーブが水っぽくなるらしい。だからといってあげないと、オリーブが干からび始めてしまう、、、。難しいところだ。

難しいのはそれだけではない。収穫時期を見極めるのも非常に難しい。

今年のオリーブは水不足により、色は早く黒くなっているが中はまだオイル分が少ない。実際、色は黒いのに触ってみると随分と硬い。ここで収穫を始めるか、もっと待つか、、、それは生産者が「どんなオイルを作りたいのか」、それに寄って変わってくる。アルベルトの見解としては、

「これ以上、熟したオリーブが増えてくるとオリーブ中のポリフェノール値が下がってくるんだよ。オイルが少ししか絞れなかったしても、僕の理想とするオリーブオイルを作るには今の時点で収穫してしまわないと。」

実際、数人の生産者に電話をして聞いてみたところ、

「この間、雨がたくさん降ったでしょ?だからもう少し、オリーブの実が成長するのを待つよ。」

「僕のところも色は変わってきたけれど、まだ硬いんだよ。ん~、、、そろそろ始めようかと思っているんだけれど、今年は見極めが難しくてね。」

「まだ始めないよ。だって色は黒いけれど絞れるオイルは絶対に少ないからね。」

など、見解は色々だ。

どれが正解だったのか、、、それはオイルを試飲した時に分かるであろう。

さて、Venvs et Salvsのオリーブの収穫、今年も収穫を行うのはこの道50年のベテラン、ジョバンニと奥さんのローザ。アルベルトは毎朝オリーブ畑を訪れ、その日にどの木の収穫を行うか決める。その指示に従って、ジョバンニとローザが手摘みで丁寧にオリーブを収穫する。

収穫はまず、木の下に緑の網を敷くところから始まる。

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1本の木の周りに網を敷き終わったら収穫開始だ。

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手で枝をなぞるようにすると簡単にボロボロボロと落ちてくるオリーブの実。10分くらい体験するなら手でやっても楽しいが、ワンシーズン、ずっと収穫を続けるジョバンニ達にとってはそれではシーズンが終わる前に手がボロボロになってしまう。そこで使うのが子供のおもちゃのようなプラスチックの「熊手」。こんな簡単な道具だがこれがまた良い働きをしてくれる。手でなぞるのと同じような感覚でオリーブを落とすことができるのだ。

「Venvs et Salvsの畑は機械は使わないよ。機械を使うとやっぱり木にストレスがかかるからね。来年のことを考えたらやっぱり手摘みがいいんだ。」

と、アルベルト氏。

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ローザは鼻歌交じりに楽しそうに収穫をする。

「年に1回のお祭りのようなものだからね、この時期は。ここの畑も丁寧に収穫するわよ!」

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手が届かない高い場所は、はしごに上って収穫をする。

畑にはオリーブが黒くなりはじめている箇所もあったが、私が行った時に収穫していたオリーブはまだまだ緑。

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収穫は「オリーブの色が黒く変わり始めた頃」というのがセオリーだが、毎年の天候に左右される農産物はセオリー通りになかなか行かないのが常で。それでもVenvs et Salvsのオリーブオイルが毎年極上なのは、ひとえにアルベルトの豊富な経験と確かな目によるものであろう。やはりとても優秀な生産者だ。そしてそんな人に頻繁に解説付きで、しかも1年を通して色々な畑を案内してもらえる私も幸運なのであろう。

収穫は今週いっぱい続くそうだ。そして、来週にはオイルの試飲ができるとのこと。その感想は、、、皆さんのお手元に届いた後で、、、。

<お知らせ>

オリーブの木のオーナーの方で「お支払いのご案内」のメールが届いていない方、メール、もしくは、このブログのコメント欄に鍵コメで、ご連絡ください。Venvs et Salvs専用メールアドレスから送信していますが、迷惑メールに分類されてしまった可能性があります。別のメールアドレスから改めて送信します。
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by lacucinasiciliana | 2011-10-19 22:17 | オリーブオイルのお話

オリーブオイルテイスターへの道

先週末はローマにてオリーブオイルテイスターの公式名簿に登録するためのトレーニングを受けきた。

イタリア語でオリーブオイルテイスターは「assaggiatori ufficiali dell'olio di oliva」(アッサッジャトーリ ウッフィチャーリ デル オーリオ ディ オリーヴァ)。英語とイタリア語、日本語にすると同じ意味になるのだが、「テイスター」という言葉がどうも好きになれない私。タイトルは分かりやすくするために「オリーブオイルテイスター」と書いたのだが、このブログでは以下、「assaggiatori(アッサッジャトーリ)」と書くことにする。

6月に受講した講習はラツィオ洲で認可されたassaggiatoriを養成するためのコースだった。元々assaggiatoriになることが目的ではなく、知識を得るために参加したのだが、ここまできたらどうせだからイタリア政府に認可されたassaggiatoriになる?と思い、今回のトレーニングを受けてきた。

イタリアにはそれぞれの資格は国で認められていて、「assaggiatori ufficiali dell'olio di oliva」も国で認可された国家資格に当たる。その名簿に登録するためには、

1, 国が指定した講習に参加すること
2, 国が指定したトレーニングを行うこと
3, イタリアに住民票を持っていること

これが最低条件となる。

トレーニングは1回に3種類のオイルを試飲、それを最低20回行う、というもの。6月に受けた講習でも結構な数のオイルを試飲したが、トレーニングではそれとは別に更に60種類のオイルをテイスティングすることになる。

今回のトレーニングに参加したのは、前回の講習の受講生が私を含め計4人と、2年前の講習に参加した人が2人で計7人。うち4人がオリーブオイル生産者で2人が食に携わる仕事をする人、そして私。講習の他にもそれぞれでトレーニングを重ねてきたレベルの高い人達ばかりだった。

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テイスティングはSala Panel(サーラ パネル)という、これまた州の厳しいチェックを受けた公式の試飲スペースで行う。一人一人仕切りで分かれていて、シーンとした中で集中した時が過ぎる。オイルのテイスティングは1回に3種。指定の用紙には

・欠陥各種
・Fruttato
・Amaro(苦味)
・Piccante(辛味)

を記入する欄があり、それぞれ自分が感じた尺度を記入していく。ワインのように「どこの産地のどの品種」を探るものではない。試飲途中には水と青りんごで、口の中に残るオイルを掃除しながら進めていく。

一斉にSala Panelに入室して、個々にテイスティングをした後、皆で意見交換をする。指揮を執るのは先生のパオラ。

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「さて、Aのオイルはどうだった?」

と質問すると、あっちからこっちから、皆の意見が飛んでくる。黙っている人なんて誰もいない。それは、今回のトレーニングはレベルが高く、それぞれに自分の基準を既に持っていたからかもしれない。そして、皆の意見が出終わったところで、どこで作られたどんな品種のオイルで、、、、とパオラの説明が続いていく。

オリーブオイルのテイスティングに「正解」は存在しない。「正解なようなもの」は存在するが、それぞれの五感は少しずつ違うため、まったく同じ評価が下る、という事はなかなか難しい。assaggiatoriが集まる正式なテイスティングは、Capo Panel(カーポ パネル)を中心としたグループ単位で行われる。assaggitoriが個々に出した意見をCapo Palelが意見をまとめてから提出する。今回のトレーニングはそれに近い感じだったかも知れない。

1日に3回のテイスティング(つまり9種)のオイルテイスティングが許可されているらしいが、確かにこの辺りが限界かもしれない。今回、規定のオイルテイスティングが終わってから、更に数種のオイルをテイスティングさせてもらった。(これはトレーニングとしては登録されないが)1日に15種のオイルをテイスティングした後は、感覚がだんだん麻痺してきて正確な判断が出来なくなってくる。パオラも

「20種以上はテイスティングするもんじゃないわよ。」

と言っていたが確かにその通りかも、、、。いや、テイスティングは出来るが、正確な判断が難しい、というところだろうか。

6月の講習、今回のトレーニングの講師をしているパオラは「食品分析」の世界で長く働いていた人。ラツィオ州のワインのD.O.Pの評議員でもあり、オリーブオイルのコンサルタントもこなす。

「モノの味を理解する、という事は、基本的にはワインもオイルもサラミもチーズも一緒。オイルだけじゃなくて、味覚を磨いていくのよ。」

パオラの話は非常に理論的で面白い。それは化学的な知識がものすごく豊富だからだ。分子や原子まで遡って、オリーブオイルに対する私達の謎を解明してくれる。そして話はオイルのみに終わらず、食品全般に関しての知識が豊富だ。偶然にもパオラと出会えたことはラッキーだったのだろう。

今回、6日間開催されていた中で私は仕事の都合で3日しか参加出来なかった。残りは10月か11月に引き続き行うこととなった。その後、晴れてイタリア政府のAssaggiatori Ufficiali の名簿に登録出来る事となるのだ。しかし、名簿に登録した後も、もちろんトレーニングは必要。嗅覚も味覚も鍛えなければすぐに劣化してしまう。私もトラーパニでの実地トレーニング(ちなみにオリーブオイル講習会を一緒に開催しているアルベルト・ガッルッフォ氏はCapo Panelでもある)、そして1年に数回はローマに行ってトレーニングを続けていくつもりだ。

ワインのソムリエに比べると比較的壁が低いassaggiatori ufficiali dell'olio di oliva。だからこそ、自分できちんとトレーニングを続けていくことが大切なのだ、、、と、つくづく思うのであった。
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by lacucinasiciliana | 2011-09-19 00:40 | オリーブオイルのお話

オリーブオイル基礎講座を開催します。


オリーブオイルの基礎の基礎講座を開催のご案内です。

「オリーブオイルのABC」

日時: 10月5日(水)
時間: 19:00~21:00 (18:00には開場しているので早く来れる方、おしゃべりしましょう!)
会場: 大江戸線若松河田駅近くのカフェ(お申し込みされたかたに詳細を連絡致します)
内容: オリーブについての色々、基本的な事から学びます。シチリアのオイル試飲3種。
講師: 佐藤 礼子
参加費: 9,000円
* 時間がちょうど夕食の時間なので、簡単なおつまみをご用意する予定です。


内容は、第1回目のVenvs et Salvsオリーブオイルセミナー同様、オリーブオイルの基礎知識を学ぶ講座です。
シチリアのオリーブオイル3種の試飲を予定しています。

2時間と短い時間ですが、オリーブオイルのアレコレを一緒に学びましょう。
少人数制ですので、楽しく和やかな雰囲気の中で、楽しんでオリーブオイルを勉強できます。

お申し込みやご質問は下記メールアドレスまで。

mail★venusetsalus.com (★→@に変えて下さい)

皆さんからのご連絡をお待ちしています!
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by lacucinasiciliana | 2011-09-18 22:33 | オリーブオイルのお話

無農薬に情熱を傾けるTitone(ティトーネ)ファミリー(オリーブオイル生産者訪問)

トラーパニ近郊の小さな村、マラウサ。そこで独自の無農薬栽培をしているオリーブオイルの生産者「Titone(ティトーネ)」を訪ねた。

Titone(ティトーネ)は生産者のファミリーの苗字。1936年から今と同じ土地でオリーブオイルを造り続けるトラーパニの中でも伝統ある生産者のひとつだ。もともと薬局を営むTitone家は古くから「無農薬」にこだわり続けた。

「食べることは健康になる事だ」

と語るのは、現在のオーナーであるジュセッペさん。

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「健康になりたければ食べろ。薬に頼るな。」

そんな事を言い出す薬局のおじさんはジュゼッペさん以外、この世にいるのだろうか?

f0226106_15461335.jpgさて、冒頭に書いた「独自の無農薬栽培」とはどんなものだろうか。

無農薬栽培のオリーブオイル農家を泣かせるのはハエを始めとする虫達。ハエは果肉の多いオリーブを狙って彼らのもつ針で穴を空けてしまう。当然、穴が空いたオリーブはそこから酸化が始まり、劣化して落ちてしまう。落ちなかったとしても、酸化したオリーブを使って作ったオリーブオイルは当然良質なものとは言えず、それは味にも反映される。

ジュセッペさんはパレルモ大学と共に進めてきた研究で、「ハエが好む匂い」を発見した。

「ハエは臭いものが好きなんだよ。」

右のボトルを見て頂きたい。上に小さな穴が空いているのが分かるだろうか?

「ボトルの中に魚の粉かアンチョビを入れて水を注ぐんだよ。メスのハエはその匂いに引き付けられて穴から入ってしまう。オスのハエは魚の匂いには引き付けられないけれど、メスが放つフェロモンに引き付けられて穴から入ってしまう。こうすることで、劇的にハエの量を減らすことができるんだよ。」

原始的だが画期的な発明だ。Totone家には5000本のオリーブの木がある。彼らは、この1本1本の木に、この仕掛けがされているボトルを毎年ぶら下げ、毎年回収しては洗って翌年に備えるのだ。

ジュゼッペさんの説明に続き、娘のアントネッラさんに畑を案内してもらった。

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「ほら、このボトルは緑でしょ?でもあっちのボトルはオレンジ。入ってくる虫によって水の色が変わるのよ。オリーブを狙っているのはハエだけじゃないからね。」

本当だ。ボトルを見ると、濃い緑、薄い緑、オレンジ、ピンク、、、、自然界には色々な色をした虫がいるものだ。

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オリーブ畑にはトラーパニを代表する3種、ビアンコリッラ、チェラスォーラ、ノチェッラーラの3種、それとその他数種のオリーブの木が植わっているという。オリーブの木は品種を問わずランダムに植わっているが、収穫する時は種類ごとに収穫していく、というのだから大変な作業だ。オリーブの木はきちんと剪定され、木も元気そうなのが畑から伝わってくる。

自社でフラントイオ(搾油所)を持つTitoneは1992年から最新のコールドプレスを導入している。収穫してすぐにオリーブオイル製造に移れるというのはオリーブオイルつくりにおいて非常に重要なポイントで、大きな利点である。

さて、一通り見学した後は、オリーブオイルの試飲だ。

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Totoneでは2種類のオリーブオイルを作る。ひとつは「Valli Trapanesi D.O.P」、もうひとつはD.O.P規定にこだわらず作ったオイル。いずれも無農薬である。D.O.Pオイルを試飲してみる。さわやかな緑の香りとどことなく漂う青りんごの香り、口に含んでみると草原をイメージさせるような緑のオリーブの風味、、、とても均整の取れた美しいオイルであった。

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壁一面、、、というか、部屋の全面の壁を埋め尽くす賞の数々、、、。その数は圧巻だ。

「収穫はいつから始まるの?」

という私の問いに、

「10月の上旬よ。良かったら見に来てね。」

と微笑むアントネッラさん。是非、オイルが出来る瞬間を見に行きたい。
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by lacucinasiciliana | 2011-09-11 16:20 | オリーブオイルのお話