カテゴリ:シチリア菓子・パン( 20 )

トラーパニのクリスマス菓子 その3 ~ Pignolata(ピニョラータ)~

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もうやめて~、、、、という声も聞こえてきそうですが、まだあるんです、トラーパニのクリスマス菓子(笑)

第3弾は「Pignolata(ピニョラータ)」。Pioli(ピノーリ=松の実)みたいにちっちゃいところから名前がついたそうです。クッキー生地に近い感じのものを小さく切って揚げて、ハチミツをまぶす、、、。「揚げ+ハチミツ」というこれまた危険なお菓子(笑)

シチリアのお菓子は揚げ菓子が多いのが特徴。それは、昔の人の利便性からだそうです。かつて、電気オーブンなんてものはもちろん無く、パンにせよお菓子にせよ焼くためには、まず薪を割り火をくべて窯の温度を上げ、その後にその薪を掃除してからパンを窯の中に入れる、、、一日がかりの大仕事でした。なので、窯に火をつけるのは1週間に1回。まとめて数十キロのパンを焼いた後、余熱でビスコッティなんかを焼いていたそうです。一方、オイルの火を温めるためには、大量の薪も使わないし意外とお手軽。という事で、日常のお菓子は揚げ菓子が増えていったそうです。

「トラーパニのクリスマス菓子」、、、と書いていますが、決してトラーパニだけにあるわけではなく、形を変え名前を変え、他の場所にも存在しています。例えば、ナポリの「ストゥルッフォリ」。形といいカラフルなプチプチと言い激しくピニョラータに煮ていますが微妙に使う原材料が異なります。(微妙ですけどね)でも、その微妙さが食感を変え、食感が変わると味も変わってて来る感じがするんですよね~。「ピニョラータ」と一言で言ってもメッシネーゼ(メッシーナの)は、トラーパニのものに比べると生地はフワフワな感じで更にチョコレートがコーティングされています。ちなみにトラーパニのピニョラータは食感も味もカリントウに似ています(笑)

クリスマスのドルチェが沢山あるのは、キリスト教徒にとってクリスマスってそれだけ重要&おめでたい日だからなんでしょうね。今週はついにクリスマスウィーク!皆さんも良いクリスマスをお過ごしくださいね、、、、♪
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by lacucinasiciliana | 2010-12-20 20:46 | シチリア菓子・パン

トラーパニのクリスマス菓子 その2 ~ Sfince(スフィンチェ)~

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あぁぁぁぁぁ~、、、、今書いた記事が全部消えました(号泣)投稿した瞬間

「パラメタ(?)が正しくありません」

との表示が(涙)一体どういうことですかぁぁぁぁぁぁ~????

気を取り直して、、、あぁぁぁぁ~、、、気が乗りません(涙)

さて、ここのところ、お菓子ネタが続いていますが、、、まだまだ続きます、お菓子ネタ。クリスマスですからね。

f0226106_21135499.jpgトラーパニ地区でこの時期頻繁に作られるクリスマスドルチェ、Sfince(スフィンチェ)。セモリナ粉とジャガイモを使った醗酵生地をオリーブオイルで揚げ、シナモンシュガーをまぶして食べます。これが本当に美味しく、ついつい手が伸びてしまう危険なお菓子でございます。

最近、色々な方のブログやホームページを見ていると「高加水のパン」、という文字を良く見かけます。つまり、「水分が多い生地のパン」という意味ですが、日本では最近、流行でしょうか?シチリアでは伝統的にこの「高加水」といわれている生地がパンでもお菓子でも多い気がします。ピッツァの生地もかなり緩めだし、サンマルティーノの日に食べるムッフォレットも超高加水。スフィンチェもそのひとつで、生地はドロドロ。右の写真はスフィンチェの記事を捏ねているところですが、水分が多いのでボウルの外には出せません。ボウルの中で両手をグルグル回しながら、ボウルのフチに叩きつける感じで捏ねます。(分かりにくい?)

生地をこねるのもなかなか難しいのですが、最大の難関がドロドロの生地の中央に穴を空けながらオリーブオイルの中に落とす作業。手に水をつけて素早くオイルの中に落とすのですが、スフィンチは真ん中に親指で穴を空けるのが伝統のフォルム。というか、穴が空いていないとなかなか火が通りません、、、。グズグズしていると手に引っ付いちゃうし、だからと言って焦るとうまく穴が空きません。レッスンでも時折作るのですが、マンマ達は長年の経験で職人レベルの技をいつも披露してくれます(笑)

スフィンチェはやっぱり揚げたてが一番!なので、私の定位置はスフィンチェをオイルから引き上げる係り(笑)揚げ係になると手がドロドロでつまみ食いができないという宿命を負うこととなります、、、。私はお隣でアツアツをハフハフ言いながら食べる係り(笑)片手にはマルサラワイン、片手にはスフィンチェ、、、タマリマセン♪

冒頭の「パラメタ~」の件、エキサイトブログの不具合だったのですね(涙)これからは投稿する前に、一度どこかに保存してから投稿します、、、。
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by lacucinasiciliana | 2010-12-20 20:35 | シチリア菓子・パン

2011年お歳暮 チョコレートタルト、、、?

今年もいよいよ残すところ2週間ちょっと。クリスマスはもう来週です、、、。イタリアではクリスマス前に、お世話になった方々にプレゼントを贈る習慣があります。クラシックなのは大きなカゴに入った食材詰め合わせセット。ワインや食材やお菓子や、、、50ユーロ相当から上は際限なし!(平均50ユーロくらいが多いらしいです←食材屋談)日本で言ってみれば、お歳暮のビール詰め合わせとかハム詰め合わせみたいな感じ?それに比べると随分オサレな感じもするイタリアの詰め合わせです(笑)

私の連れC氏には仕事柄(はて、何の仕事でしょ?)、この時期、沢山のお歳暮が届きます。先週のある日。

「今日はチョコレートトルタをもらったんだよ~。」(ちなみにイタリア語ではタルト→トルタ。日本語と逆に読みます。)

ドルチェ大好きな私に、夕方わざわざ電話をくれました。今日の夜ゴハンはチョコレートタルトだ!と張り切る私(笑)家に戻ってきたC氏、、、もちろん私が待っていたのはC氏ではなくタルト!

ジャジャ~ン!

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ズッシリと重く、外側は相当頑丈にチョコレートでコーティングされています。はて、中はなんだろ?ザッハトルテみたいなケーキかな?ワクワクしながらガサゴソガサゴソ、、、、、異常に厳重に包まれている包み紙を開けていくと、、、

あら?あらら???

フタが、、、フタが開いちゃった!!

な、なんと、、、チョコレートの箱でできたチョコレートの詰め合わせでした。。。。(驚)

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思わず顔を見合わせてしまった私達。タルトと一緒に食べよう!と思って淹れた紅茶は、、、どうする??(苦笑)

思わぬ展開となったチョコレートタルトですが、それはそれで嬉しくもあり♪ 毎日モリモリと食べています。

イタリアのお菓子って「甘い、パサパサしている」と敬遠されがちですが、チョコレートは意外と美味しいんです。この、ビックリチョコレートタルトを作ったのはトラーパニではなくパレルモ県の小さな村にあるお菓子屋さんですが、そんな小さな村にもこんなアイディアチョコレート職人がいるかと思うと、ちょっと驚きましたが。

続々と届くC氏のお歳暮、、、毎年楽しみな12月です♪

★しばらく更新が滞っていた「シチリア時間BLOG2」。更新を再開しましたのでご覧くださいまし。→ こちらから。
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by lacucinasiciliana | 2010-12-17 02:27 | シチリア菓子・パン

シチリアの麦ドルチェ Cuccia(クッチーア)

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さて、12月13日のサンタルチアの日にシチリアで食べるもの、それはCuccia(クッチーア)と呼ばれる麦を使ったドルチェ。サンタルチアは前にも書きましたが「粉もの」を食べない日。なので、丸のままの麦は食べてもOK。

クッチーアは麦を茹でてそれにヴィンコット(モストを煮詰めたもの)で味付けをして食べるのが伝統だそうです。確かに麦とヴィンコット、昔の農家だったらどこの家にもあったものですよね。今はそれにチョコレートのツブツブを入れているものが多いです。別バージョンとして、

・リコッタ
・リコッタ+チョコレート
・カスタードクリーム
・オレンジクリーム

などなど。

バリエーションは無限です(笑)今年、私はベーシックなリコッタと、リコッタ+チョコレートをチョイス。リコッタ+チョコレートはリコッタの中にチョコレートのツブツブが入っている、、、のではなく、リコッタに溶かしたチョコレートを入れて混ぜ混ぜ。なので色はチョコレート色(汗)ギョッ!って感じでしたが意外と美味しかった。

ところで「サンタ ルチア」というと、「サンタ~ル~チ~ア~~~♪♪」という歌を思い浮かべる方が多いかも知れませんが、私、この歌、ここシチリアでサンタルチアの日の存在を知るまで「Santa Lucia=サンタルチア」と歌っているとは気がつきませんでした(汗)私のなかでは「サンタルチア」というひとつの言葉、、、だと思っていました(爆)

宗教と食文化がまだまだ色濃く残るシチリア、なのです。
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by lacucinasiciliana | 2010-12-15 16:45 | シチリア菓子・パン

トラーパニのクリスマスドルチェ その1 Biscotti di Fichi(イチジクのビスコッティ)

今年もクリスマスシーズンに突入です!

イタリアでは12月8日からクリスマスシーズンになることは先日のパネットーネのエントリーで触れました。この時期になるとドミンゴマンマもソワソワ、、、、するのは、クリスマスのドルチェBiscotti di Fichiを作らなくちゃならないから!

f0226106_0181154.jpgマンマは夏に大量の干しイチジクをつくります。庭の白イチジクと黒イチジク、それぞれ1本の木から食べきれないくらい収穫できるイチジクを半分に開いてまずは天日干し。ある程度乾いたら半分のものをペタッと2つ引っ付けて、糸でまとめて行きます。そしてそのまま更に干してこの時期に作るイチジクのビスコッティに備えるのです。

「昔は甘いものって貴重だったのよ~。私達の時代には既にお砂糖があったけれど、数百年前は天然の甘味料、つまりハチミツやイチジクなんかの方が、精製されたお砂糖よりも安かったのよ。甘いものは貴重だったから、夏の自然の恵みをキリスト教徒にとっては重要な時期のクリスマスまで取っておいて、その時期になったらキリストの生誕を祝ってビスコッティ ディ フィーキを作るのよ。」

シチリアのイチジク、驚くほど甘いのです。日本で食べたイチジクはなんとなく水っぽく特有のにおいがあって(私にとっては生臭い感じ)、、、日本では苦手だったイチジク。ところがシチリアに来て、ドミンゴ家のイチジクを食べてから大のイチジク好きとなった私です。

さてこのビスコッティ、柔らかめのビスコッティの生地に、イチジクのインパストを包んで焼くのですが、イチジクにはアーモンド、クルミなど木の実、そしてハチミツが入ります。形も色々でドミンゴマンマが作るのは→写真のような、極シンプルなタイプ。


私の仕事のレッスンをお願いしているWマンマのうちの一人、カロリーナはビスコッティ ディ フィーキ名人と私が拝むお方。どんなのが作れるかというと、、、↓↓↓

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カワユイ~~~♪

「形はどんなでもいいのよ。想像力を働かせるのよ。」

彼女の手にかかるとアララ不思議。彼女の手からはどんどん違う形のビスコッティが出来上がります。お見事!

さて、ビスコッティ ディ フィーキに欠かせないのが上に乗っているカラフルなプチプチ。イタリア語では「diavoletto(ディアヴォレット)」、小悪魔ちゃん、と呼ぶそうです。なぜなら、静電気であっちこっちに飛び跳ねるから(笑)「手に負えないわ~~~」という事で小悪魔ちゃんだそうです。日本ではもうあまり見かけなくなったこのカラフルプチプチ。シチリアではまだまだ健在っ!クリスマスのお菓子にふさわしいようにカラフルに仕上げたのでしょうね。「ダサ~」という声も聞こえてきそうですが、コレがなければビスコッティ ディ フィーキとは言えない!と、私は思うほど重要な一品。(と思っているのは私だけかも・笑)

私はフライングして先週既に1回作ったこのビスコッティ。そろそろ、ドミンゴマンマも作っている頃かな?今年も楽しみです♪
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by lacucinasiciliana | 2010-12-08 00:19 | シチリア菓子・パン

クリスマスのドルチェの王様 Panettone(パネットーネ)

いよいよ今年も最後の月となりました。12月、と言えばクリスマス。イタリアもあと少しでクリスマスシーズンに突入ですっ!

イタリアでは12月8日、マリア様がキリスト様を受胎したといわれる日(Immacolata Concezione=インマコラータ コンチェツィオーネ)からクリスマスが始まります。8日近くになると皆ツリーを出したり、年末の贈り物の買い物に行ったりなんだかソワソワし始めるわけです。そして12月に入るとお菓子屋さん、パン屋さん、そしてスーパーでは山になっているのを見かけるのが、クリスマスのドルチェの王様Panettone(パネットーネ)。

パネットーネ=巨大なパン、という意味ですが、アントニオ(トニー)が作ったパン、Pane di Tony(パーネ ディ トニー)が訛ってパネットーネに、、、という強引な説もあります(笑)イタリア全土でこの時期になると売っているパネットーネですが元々はロンバルディア州(ミラノがある州)のドルチェです。2004年にはIGT(保護指定地域表示)も取り、正真正銘のミラノのドルチェとなったわけです。

パネットーネは通常のパンで使われるビール酵母は使わず「パネットーネ菌」という菌を使って長時間醗酵させていきます。生地にはバターや卵がたっぷりと入り手で触るとドロ~ンと伸びるとっても柔らかい生地です。そこにレーズンやオレンジピールなどを混ぜて2~3日醗酵。(長っ!)しかし、パネットーネ菌で焼いたパネットーネは保水性・防腐性・防菌性に優れていて長期保存が可能。12月8日に作ったパネットーネだって12月25日まで持ちます。

現在、どれほどのお店がこの「パネットーネ菌」を使ってパネットーネを使っているのかは分かりませんが、多くのお店は「lievito madre=リエビト マードレ」を使っているようです。lievito madreとは水と粉を溶かしたものを数日寝かせて自然に醗酵させたもの。パン屋さんなどでは毎日毎日少し生地を残して翌日の生地に加えることで醗酵しているところもあります。

さて、今年、第一号のパネットーネを我が家も購入しました♪ ↓
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うちのお隣のパン屋さんで購入。小さくみえますが1kgのものです。隣のパン屋さんは住宅街にあるフツ~のパン屋さん。以前、パン屋さんを経営するお客様がいらしたときに「パン屋の厨房を見学したい」とおっしゃるので、隣のパン屋さんに見学に行ったところ、中には本格的な石釜がありました。薪は「オリーブの木の枝を使っている」との事。普通に美味しいお隣のフツ~のパン屋さんですが、釜にも薪にも、もちろんパンの生地にも、職人さんのコダワリが垣間見れました。シチリアのパンが美味しいわけだ。(シチリアパンはシチリアの隠れた名産品ですよっ!)

なので、パネットーネにも期待大。(まだ開けていません)

いつだったか、

「イタリア人はクリスマス期間に1人2個(=2kg)のパネットーネを消費する」

と、聞いたことがあります。

我が家(2人)は毎年、色々なパネットーネをクリスマス期間を通じて、朝ごはんに、おやつに、夜食(!)に、、、と6個くらい消費します(カロリー高いのよね~、、、・汗)今年は、スーパーなどで売っている大量生産のパネットーネは購入せず、お菓子屋さんかパン屋さんで売っている手作りの美味しいパネットーネのみを数個食べたいな、と。少し大人になった私達(笑)

もともとレーズンやドライフルーツが入ったドルチェに目のない私。しばらく、パネットーネで楽しみます♪
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by lacucinasiciliana | 2010-12-03 20:11 | シチリア菓子・パン

今年もお供えものの季節です

毎年10月になるとシチリアのお菓子屋さんの店頭にたっくさん並び始めるこのお菓子。

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Frutta Martorana(フルッタマルトラーナ)。フルーツの形をしたマジパン菓子で、今となってはシチリア銘菓(?)となりつつあるので1年中店頭には並びますが、このお菓子の旬は実はちょうど今頃。イタリアでは11月2日はFesta dei morti(死者の日)といってお墓参りに行ったり亡くなった方々を偲ぶ日。この日に食べられるのがフルッタマルトラーナ。まるで日本のお供え菓子みたいですよね。お供え、、、とはいっても、食後のデザートとして食卓に並び、皆でパクパクとつまみます。見た目「食べれるの?」と思わず聞きたくなるようなお菓子ですが、れっきとした食べるお菓子です。

今日は料理教室@JAPANでドルチェとして召し上がっていただく予定のアーモンド菓子を調達にエリチェに行きました。エリチェのパスティッチェリアといえば私も修行していたMaria Grammatico(マリア グラマティコ)。私がココを修行先に選んだのは、こんなカワイイフルッタ マルトラーナをイタリアの雑誌で見かけたから。今見てもやっぱりカワイイ♪ 手前にある石鹸も、、、実はフルッタマルトラーナです(笑)

さて、明日日本に出発します。日本から時間があったらレポートしますが、無ければ、、、次回のレポートは帰国後(シチリアに)となります。まだまだ汗ばむほど暑いシチリア、、、今年は夏が極端に暑くなかった分、暑さが長い気がするシチリア(今日は30度ほどあります)。日本はどんな気候なんでしょうね??
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by lacucinasiciliana | 2010-10-07 16:00 | シチリア菓子・パン

夏のシチリアの朝ごはん グラニータ コン ブリオッシュ

そろそろ暑くなってきたシチリア。でも、今年は少し夏の到来が遅く、海水浴は6月上旬からしている人もいましたが、日中に暑い~と感じるようになったのは先週からの事。暑くなってくると食べたくなるのがコレ!↓

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グラニータ コン ブリオッシュ!

グラニータとはシャリシャリとしていて、カキ氷のようなもの。シチリアの暑~い暑~い夏には最適のドルチェ(飲み物?)です。このグラニータはスプーンですくってそれだけで食べても美味しいのですが、ブリオッシュと呼ばれる柔らかいパンを浸しながら食べるのがシチリア流!そして、おやつにも夜にも食べるけれど、、、朝ごはんに食べるのもシチリア流!

ブリオッシュと言えば、日本では黄色いバターたっぷりのリッチなパンを思い浮かべますが、シチリアのブオッシュは白いシンプルなフワフワパン。これを手でちぎりながらグラニータに浸して食べるのです。

余談ですが、シチリアでは「ブリオッシュ」といえばこのシンプルフワフワパン、朝みんなが食べているクロワッサンのようなものは「コルネット」と呼ばれています。しかし、北部に行くとシチリアで言うところのコルネットを「ブリオッシュ」と呼ぶところもあり、、、ややっこしいです(汗)

グラニータはさすがに寒い冬に食べたくないせいか、冬季はトラーパニで食べられるお店は皆無。(パレルモとかシラク-サなんかの観光大都市ならありそうですが)6月~10月ごろまでの季節ものです。私が先日食した今年の初グラニータはアーモンドのグラニータでした。(写真上)アーモンドのツブツブが残っていて香ばしく、そしてアーモンド特有のアマレットのような香りも漂い、、、非常に美味なグラニータでした。アーモンドのほか、レモン、カッフェ(コーヒー)なんかは定番。トラーパニのグラニータと言って有名なのはジェルシ(黒い桑の実)とジェルゾミーノ(ジャスミン)。いずれも他の地域ではあまり見かけないトラーパニのご当地ものです。

暑い夏にシチリアを旅行される方、是非グラニータ コン ブリオッシュをお試しください!Bar(バール)などで食することができます♪
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by lacucinasiciliana | 2010-06-17 15:40 | シチリア菓子・パン

世にも不思議な牛肉入りビスコット!「'Mpanatigghi(ムパナティッギ)」

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シチリア南東部にある小さな街モディカ。先日はジャリジャリチョコレートを紹介しましたが、この街、チョコレートだけではなく実は不思議なお菓子の宝庫なのです。今日ご紹介するのは、なんと「牛肉入りビスコッティ”'Mpanatigghi(ムパナティッギ)”」。牛肉入りも不思議ですが、この言葉の響きも不思議なお菓子。歴史は古く16世紀にスペイン支配下にいた頃まで遡ります。

当時、シチリアの多くの地域はスペイン支配下にあり、コロンブスの新大陸発見(1492年)後、スペインを伝わり南米からチョコレートを始め、トマト、ピーマンなどがヨーロッパ大陸にも伝わってきました。その時に一緒に伝わってきたと言われるこの「'Mpanatigghi」、不思議な発音は、スペイン語の「Empanada(エンパナーダ)」から来ているようです。「Empanada」はスペイン語で「empanar=包む」からきていて、「中に具を入れて包んだお菓子」という意味だそうです。

では、なぜ牛肉をビスコッティに入れたかって?それには色々な説があります。

一つ目は、「牛肉の保存方法だった」、という説。冷蔵庫という文明の利器もなかった当時、いかに牛肉を長持ちさせるか、、、、と考えた結果、お菓子の具に混ぜ込んでオーブンで焼いてしまえば良いのでは!?という大胆な発想に生まれた、というもの。

二つ目は、「農民のお弁当にするためだった」、という説。周りを包むための生地(炭水化物)、チョコレートや砂糖(糖分)、ストゥルット(豚の背脂=油脂分)、に加えて、牛肉(たんぱく質)を加えることで、ビスコット自体が完全食となり、農民が畑に行く時に持っていくお弁当として最適だったから、というもの。

どちらも甲乙つけがたく真実味がありますが、いずれにせよ大胆な発想であることには変わりありません。

気になるお味は、、、、というと、当然のことながら(当然じゃない?)牛肉の味はしませんのでご安心を。具には、チョコレート、砂糖、アーモンド、卵白、シナモン、丁子が入るため、牛肉の味は消されてしまいます。

f0226106_1452820.jpg(ムパナティッギの作り方)

私の古巣、モディカの老舗ドルチェリアBonajutoで私が働いていた時(2005年)に撮影したものです。お店では仕込んでも仕込んでもすぐに売切れてしまう人気のお菓子でした。

(左上)薄く延ばした生地にチョコレート&牛肉入りの具を絞り出していきます。少なすぎると味がしないし、多すぎると破裂して生地の横からはみ出てしまう。量の加減が非常に微妙でした。

(右上)淵に卵白を刷毛で塗った後、ひとつひとつ半分に折りたたんで形を整えます。

(左下)天板に移してハサミで小さな切込みを。ハサミの入れ方も微妙で、穴が大きすぎるとここから中身が大量に流出してしまいます。

(右下)オーブンで15分ほど焼くと出来上がり。ハサミの入れ具合で中から出てくる量が違うのがお分かりかと思います。写真は働き始めてすぐの私が切り込みを入れたため、大きさがマチマチ。お店を卒業する頃には、私もハサミ入れのプロとなっていました!(笑)



一度に大量に仕込みため、必ず3人がチームになって作っていました。生地を延ばす、具を絞る、綴じる、天板に移す、切込みを入れる、、、、これを3人でぐるぐると回しながら作業をします。おしゃべりをしながらゲーム感覚で作るため、意外と楽しい仕事の一つだったことを思い出します。

今回、記事を書くにあたって文献を紐解いてみると、ムパナティッギにはまだまだ色々な説があることを知りました。その一つが、「アラブから伝わってきたお菓子で、18世紀~19世紀にはパレルモ、エンナ、カルタニセッタの修道院で作られていた」という説。確かに、シチリアにはアラブから伝わったお菓子がたくさんあるし、不思議、、、という意味ではアラブのお菓子達も負けていません。「エンパナーダ」についても調べてみると、スペインのみならず、南米全般、そしてポルトガルでも色々な具を入れて作られていることを知りました。モディカは「牛肉入りのお菓子」という位置づけですが、南米では「肉や野菜を入れた料理(前菜・パンの一種)」として食べられているそうです。そういえば、ラグーサ・モディカ地区にも「インパナータ」と呼ばれる野菜やカジキ(魚です)を入れたパン(の一種)があったっけ、、、。こうして食の歴史を紐解いていくと、その昔、人が海を渡って往来していた足跡が見えるのも食文化研究の醍醐味です。

ムパナティッギは、ラグーサ・モディカ地区の名物(?)で、どこのお菓子屋さんでも作っているので、この地域に行ったなら是非お試しあれ!

★別館シチリア時間ブログ2では「2010年パスクワの旅 キャンティー紀行」を続々アップ中です!
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by lacucinasiciliana | 2010-04-13 01:54 | シチリア菓子・パン

アステカ文明から伝わるジャリジャリチョコレート 「Cioccolata Modicana」(モディカチョコ)

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シチリア南東部の小さな街、モディカ。ラグーサやノートと共に「シチリア南東部 バロックの街」として世界遺産にも登録されています。ここには世にも不思議なジャリジャリした食感のチョコレートが存在しているのです。

私がこのジャリジャリチョコレートを知ったのは、2004年にイタリアに留学に来た数年前の事。「アステカ文明から伝わるチョコレート」という記事を偶然目にしたのが最初でした。当時は「シチリア菓子」の情報なんぞ日本にはほとんどなく、イタリア語の記事を辞書を引きながら解読したのを覚えています。それからというもの、、、、ずっと頭の片隅に残っていた「アステカ文明のジャリジャリチョコ」。しかし、その時はまさか、自分がそのチョコの工房で働くことになるとは夢にも思いませんでした!(以下、”アステカ文明ジャリジャリチョコ”は”モディカチョコ”と表記します。)

f0226106_0474490.jpg「モディカはね、シチリアの中でも早い時期からスペインに支配された街の一つだったんだよ。それで、ちょうどその頃、新大陸発見でスペインに持ち込まれたカカオがモディカにもいち早く伝わったって訳さ。」

と、モディカチョコについて詳しく詳しく語ってくれたのは、チョコレート博士としてイタリアでも名を馳せるモディカの老舗ドルチェリア(モディカではお菓子屋さんを”パスティッチェリア”ではなく”ドルチェリア”と呼びます。)、ボナユートのオーナであるフランコ・ルーター氏の息子、ピエルパオロ氏。フランコ&ピエルパオロ親子は、現在もチョコレートの研究に勤しみ、モディカチョコをイタリアのみならず、全世界に発信した仕掛け人でもあります。

「アステカ文明ではチョコレートは"Xocoàtl(ソコアトル)"と呼ばれ、昔は薬や精力剤として扱われていたんだよ。でも、高価なものでね、、、庶民はなかなか手にする事ができなかったんだ。モディカチョコの材料は、カカオマス、グラニュー糖、シナモンかバニラのスパイス、これだけだよ。ジャリジャリしているのは、グラニュー糖が融点に達する前に火を止めちゃうから。つまり、カカオが溶け出したら風味が飛ぶ前に加熱をやめちゃうんだ。」

なるほど。モディカチョコは、非常にダイレクトなカカオの味がするのはそういう事だったからか、、、。彼らはこの製法を「a freddo(冷製)」と呼び、モディカチョコの最も大きな特徴として位置づけています。


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(写真左)右側が外皮付きのカカオの種(豆)。外皮を砕くと黒っぽい胚乳が出てくる。

(写真右)昔はこんな台を使ってすり潰していた。気が遠くなるお話だ。


左の写真が「Fave di cacao(カカオのソラマメ)」と言われている、カカオの種(豆)。カカオの実は収穫された後、すぐに割られて種(豆)を取り出して1週間くらい醗酵、そして天日で乾燥されます。それを焙煎した後、外皮を割って出てきた部分(胚乳)をすりつぶしてペースト状にしてチョコレートにしていました。(それを固めたものがカカオマス)

「うちでもね、数十年前までは傾斜をつけた石(metate=マターテ、と呼ばれる)の上で、石の麺棒を使ってすり潰していたんだよ。」

では、ここでモディカチョコの作り方を。

f0226106_0503782.jpg①カカオマスを鍋に入れてゆっくりと弱火で溶かす。(写真左上)

②カカオマスが溶けたら、グラニュー糖とスパイス(バニラ or シナモン)を加えて馴染ませる。(この時点ではまだ液状・写真右上)

③そのまま少し冷却。

④液状じゃなくなったら少しずつ取り出し、作業台の上で少し練ってから(写真左下)チョコレート型に入れる。

⑤空気を抜くため、木の大きな器にチョコレート型を入れて、器ごと作業台の上で軽く叩きつける。

⑥更に常温で冷却。



モディカチョコに使われる最も伝統的なスパイスは、バニラ、シナモン、ペペロンチーノ(!)ですが、現在はオレンジ、レモン、ハーブ類などのフレーバーが付いた色々なバージョンが出ています。「トラーパニの塩」なんていう変わりチョコもありました。植物性油脂やレシチンなど、普通のチョコレートに使われる材料は一切使われず、テンパリング(白く結晶化するのを避けるための温度調整)もしない極々ナチュラルなチョコレート。モディカチョコを食べながら、アステカ文明に思いを馳せる、、、なんて、壮大なロマンを感じます。

さて、私がモディカチョコ修行に行ったモディカの老舗ドルチェリア、Bonajuto(ボナユート)のお話は、、、またいつか。
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by lacucinasiciliana | 2010-04-07 00:18 | シチリア菓子・パン