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「今週のピックアップブロガー」、再登場!

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2010年にも一度出させていただいた「今週のピックアップブロガー」(ココをクリック!)。出版を記念して再登場させていただく事となった。

8月24日に本が発売して1週間が経つ。この1週間、、、なんと輝いていた1週間であろうか。数々のお祝いのメッセージ、「買いました!」報告、「○○の書店で平積みになっていました!」という平積み報告、、、メールやFacebookを通じて、本当にたくさんの方からお祝いしていただいた。この目で実際に書店に並ぶ姿を見ることはまだできないが、皆さんと写真を見ることでリアルタイムで喜びを共有する事ができた非常にエキサイティングな1週間だった。たくさんのメッセージ、心より感謝したい。

食の世界に入ってから20年近くが経つ。今まで決して「本を出版するため」に食の仕事を続けてきたわけではない。自分の興味の向く方向に、貪欲に、そして臆することなく向かっていった結果であったと思っている。そしてここがゴールでもない。私にとっては今まで7年のシチリア生活の、そして食の世界で働き始めてからの大きな区切り、という位置づけだ。この先、この本を通じて、たくさんの出会いがあり、仕事の場も広がるかもしれない。そうした時に、いつも胸を張っていれるよう、これからも「シチリア」を積極的に知っていきたいと思う。

この7年、シチリア南東部に半年間住んでいたものの、その後は西シチリアを中心として食文化を学んできた。しかしシチリアは広い。西シチリアが4つ程集まったのがシチリアだ。そしてそれぞれの地域に、またそれぞれの食文化が存在する、、、これが私がシチリアに魅了された一つの理由でもある。これからは西シチリアのみならず、シチリア全土に活動範囲を広げていきたいと思っている。きっと、またキラキラと目を輝かすことが得きるような新しい発見がたくさんある事であろう!

出版関連の諸々により、非常に忙しい時期を過ごし、このブログもしばらく更新が滞った。一段落したら気持ちを入れ替えて、また更新を続けていきたいと思っている。今後もこのブログを時折覗いていただけたら嬉しい。

「今週のピックアップブロガー」はこちらから。

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<お知らせ>
出版を記念して9月16日にイベントを開催します。ご興味のある方は、是非下記URLから詳細をご覧ください。

出版記念イベント「シチリアのおうちごはん」→http://www.tavola-siciliana.com/event_japan/festa_libro.html
# by lacucinasiciliana | 2012-08-30 23:18 | シチリア料理本出版

「イタリアで一番おいしい家庭料理 シチリアのおうちレシピ」 8月24日発売決定!

「イタリアで一番おいしい家庭料理 シチリアのおうちレシピ」 8月24日発売決定!_f0226106_50387.jpg2012年8月24日、待ちに待った私の第1冊目の本の発売日が決まったっ!

去年の秋に、出版社へ企画が通った「シチリア家庭料理のレシピ本」。去年暮れからどの料理を載せるか、料理の選定を始めてから約8ヶ月、、、、8月の始めにやっと責了となり、発売日も決まった。長いようで短いようで、、、とにかく精一杯頑張った8ヶ月だった。

「シチリアでの7年間の生活の集大成」

2005年1月からシチリアに住み始めた。その頃は、シチリアのパスティッチェリア(菓子屋)で働き始めたのだが、お店で働くだけでは面白くない。もっと地元の生活が垣間見たい!と思い、働いていたお店に夜は自由時間にしてもらう事を願い出た。夕方で仕事を終えた私は、毎日毎日街を散歩し、地元の人がどんなペースで生活し、どんな食事をしているのか、、、そんな地元民の生活に密着した。住んでいる間に知り合いが増え、色々な人のお宅にお邪魔し、食事をご馳走になった。

その中でも一番私に大きく影響を与えたのは、このブログでもお馴染みの「ドミンゴ家」のマンマとパパとの出会いであった。家庭菜園、、、とは言えないほど大きな家の裏にある農園でパパは楽しそうに家族のために野菜や果物を育て、マンマは毎週日曜日、集まってくる息子娘家族のために腕をふるう。季節には季節の食の行事があり、ものすごいスローな生活をしている、、、と思いきや、

「便利なものは、そりゃ使うわよ。」

と言って、フードプロセッサーやバーミックスも使っている。

土と触れ合い季節感のある食生活をしながらも、きちんと文明の利器も使いこなす、、、、あまりにもナチュラルに昔と現代が融合した生活をしている彼らに、ちょっとした衝撃を受けた私。頑なではなく、時代に合った形で「伝統」を大切に受け継いでいる彼らの生活に驚きを感じた。

「もっと彼らの生活を見てみたい。」

そう思ったのがシチリアに残った一番大きな理由だった。それから7年、ドミンゴマンマを始め、色々な家庭料理を生活に密着する形で、色々なシチリアマンマから教わってきた。季節には季節の食事があり、それはその季節に食べてこそ価値があるもの。それが味わう事が出来るのが現地に住んでいるものの特権である。そして、このレシピブックはそうして積み重ねてきた私の7年間の集大成なのである。

日本の皆さんにも是非シチリアマンマの味を味わっていただきたい。そして、シチリアの風を皆さんに感じていただけたら嬉しいと思う。

発売は東京では8月24日を予定。他の年では順次、書店に届き次第、発売となるようだ。

AMAZONでは既に予約が始まっている。→ 予約はこちらから。

9月には日本でイベントも開催予定なので、シチリアに興味ある方には是非ご参加いただきたいと思っている。

そして最後になったが、今まで応援してくれた友人、知人、まだ見ぬブログ読者、ラ ターボラ シチリアーナのプランや日本の料理教室参加してくださった方々、皆様に深く御礼を申し上げたい。更に、本作りに携わってくださった方々、そして私をネット上から見つけ出して本を作るまでの企画を通し、私の意向を尊重しながら本作りをしてくれた編集のYさんには、心よりの感謝を申し上げたい。

発売まであと2週間。シチリアに届くのはもうちょっとかかるだろうか、、、、。手にとって見る日が本当に楽しみだ。
# by lacucinasiciliana | 2012-08-10 05:30 | シチリア料理本出版

夏の風物詩 1年分のトマトソース作り始まる

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7月末、この時期のシチリアの畑はどんどん枯れてくる。シチリアのギラギラとした強烈な太陽を浴び植物達も「こりゃたまらん」と。そんな中、元気なのがトマト、ナス、ピーマンなどの夏野菜。さすが「夏野菜」というだけあって暑さにも強い。その中でもトマトは1本の木にたわわに実を付け、暑さで葉は枯れてくるのに実はどんどん熟してくるという、水不足のシチリアにとってはなんとも心強い野菜なのだ。そして少ない水分で、トマト自らの力で頑張って育った完熟トマトは驚くほどに美味しい。

私がいつもお世話になるドミンゴ家では、パパが大切に愛情を込めて育てたトマトを使って1年分のトマトソース作りをする。その数、数百本。シチリアでは今でもソース作りをする家が多いものの、この規模は私が知っている中では最大級だ。

トマトソースとはいうものの塩も、ハーブも何も入っていない。言ってみれば「絞りたてトマトジュース」みたいなもの。イタリアでは「パッサータ」と呼ばれ、日本でもデパートの地下や高級食材店で販売されている。だが「自家製パッサータ」は全くの別物。甘みが強く、でも適度な酸味もある。これさえあればどんな料理も美味しくなる魔法のソースなのだ。

作り方は至ってシンプル。皮と種を分けやすくするために大きな鍋でトマトを軽く煮る。それを、皮と種とジュースに分けるための機械(機械とは言えこれまたお手製、35年前の代物)にかける。それを瓶に詰めて、ふたをし、湯煎でお湯が沸騰してから2時間煮て、翌朝まで冷ます。これだけ聞くと簡単そうに思えるけれど、これが1日がかりの仕事なのだ。何故なら1回に大量のトマトをソースにするからだ。

上の写真、これはドラム缶で湯煎にしているところ。この中にはびっしりの瓶と緩衝材のための藁が入っている。その数約200本!トマトを軽く煮るのも巨大な鍋でドラム缶と同じ場所で火を起こして煮る。この日、100キロ以上のトマトをソースにしたというのだ。

「今年はこれで2回目。あと3回ほどやらなきゃね~。」

マンマとパパは前日から機械のチェックをしたり、使うための道具を洗ったり準備を始める。そして1日がかりのトマトソース。トマトは一気に熟すわけではないので、夏の間に大体5回ほど行われるこのトマトソース作り。そして、夏の間に大量にできるトマトソースはマンマとパパはもちろん、息子、娘の家族、そして親戚達が1年中使う。寒い冬も美味しいトマトの恩恵を預かることが出来るというこのソース作りはドミンゴ家には欠かせない夏の行事だ。

私が日本からシチリアに戻った翌日に必ず食べたくなるもの、パパとマンマのトマトソースだけで作ったシンプルなパスタ。私にとって「シチリア版おふくろの味」。それは、このトマトソースの中には彼らの愛情がたっぷり詰まっているからなのかもしれない。
# by lacucinasiciliana | 2012-07-28 16:51 | 保存食を作る

島民が作る島民のためのパッシート ~食文化は気候風土から形成される~

島民が作る島民のためのパッシート ~食文化は気候風土から形成される~_f0226106_17554221.jpg


パンテッレリア島と言えば「Passito di Pantelleria(パッシート ディ パンテッレリア)」、と言われるくらい有名なこのワイン。通常は「パッシート」と呼ばれる。

パッシートはZibibbo(ズィビッボ)種という甘い甘いマスカットから絞ったモストに、同じ品種のブドウから作った干しブドウを加えながら醗酵させていく独自の作り方をするデザートワインだ。ここトラーパニでもパンテッレリア島が近いとあって頻繁に飲まれるデザートワイン。だが、パンテッレリア島は頻繁、、、というより毎日、いや、毎食後に飲まれるほど親しまれているワインだった。

食事の後、ふっと立ち寄ったバールで、知り合いに家で、、、、いつどこでも

「パッシート飲む?」

パンテッレリア島は風が強い事でも知られる島。そのためここでは高い木は育てられない。(というか、育たない)当然ブドウの木も膝の高さほどの低木なので収穫は膝を付き腰をかがめながらの重労働だ。その上、干しブドウも一つ一つ手作業で枝から離すとあってその作業は気が遠くなるほど。そんな大変な思いをして作ったパッシートはもちろんパンテッレリア島民にとっても大切なもの。パッシートをご馳走してくれる、という事は歓迎されているのだろう、と思って間違いない。

6月に行ったパンテッレリア島。一体5日の滞在中にどれだけの種類、そしてどれだけの量のパッシートを飲んだ事であろうか、、、、。そして、島民からご馳走されたパッシートは私が今まで知っていた非常に香り高く色も濃い、トリロ、、、としたパッシートとは違うものであった。サラサラ、色も琥珀色、そしてスッキリとしたパッシート。こんなパッシートもあるの?

それもそのはず。私が島民からご馳走してもらったパッシートは、それぞれのお家自慢のパッシート。ラベルを貼られて世に出るものではないこの島に来て、そしてこの島の人々と知り合わなければ飲むことができない貴重なパッシートだったのだ。

「あいつんちの今年のパッシートはこの島一番さ。」

と、島民同士でも、毎年パッシートの品評会となるという。

そんな島民のパッシート、これがまたどれもこれも非常に美味なのだ。パンテッレリアはアフリカに近いため灼熱の強烈な太陽が毎日降り注ぐ。島民たちは少し歩いてはバールで休みながらお喋りに興じる。そんな時のお供はパッシート。夜になると手にはそれぞれ、家で採れた野菜や果物、釣ってきた魚を持ち寄り、適当に誰かが作り始め、適当にウワサを聞きつけた人が集まり始める。そして食事の後のお供はもちろんパッシート。気温がグンと下がる過ごしやすいパンテッレリアの夜はこうして更けて行く。1日に何度も何度も飲まれるパッシート。それには私が知っているトロリ、、、としたパッシートは重過ぎる。灼熱の太陽を浴びた後、バールでご馳走になるパッシートは、少しサラサラしたくらい(とは言ってももちろん普通のワインよりはかなりしっかりしているしアルコール度数も高い)の方がぴったりだ。

「食文化とはその土地の気候風土と相まって形成される」

本当にその通りだ、と体感した今回のパンテッレリア島訪問。忘れ難い非常に貴重な体験であった。

私が知っていたトロリ、、、としたパッシート、それはもちろん甘美な、魅惑な香りの、とても美味な、そして超高級なパッシートだ。しかしそれは、その土地で飲むものとして生まれたのではなく、そもそもパッシートが飲まれない土地(これほど暑くない、これほど頻繁に飲まれない)をターゲットとして生まれたものだという事に気がついた。云わば「島の外に輸出するためのパッシート」。島で飲むには重過ぎる。

5日間の間に本当にたくさんの島民パッシートをご馳走になった。どれもこれもそれぞれに味わいがありあまりにも美味しく、写真を撮るのも忘れてしまった。その中でも一等賞は、港の近くにある場末のバールでご馳走になった一杯。サラサラとした琥珀色の液体は、太陽に疲れた私の体を自然の甘みで潤してくれた。
# by lacucinasiciliana | 2012-07-15 17:51 | シチリアワイン

ケッパーの収穫真っ最中!

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トラーパニの南に浮かぶ小さな島パンテッレリア島に行ってきた。

トラーパニから約120キロ、アフリカから60キロ、この島はイタリアというよりほぼアフリカに近い場所に位置する。6月下旬だというのにギラギラとした太陽は肌に当たると強烈に痛いほどだ。そしてこの島の6月の風物詩と言えば「ケッパー収穫」。火山が噴火してできたこの島は島全体の土地が非常に肥沃だが降水量が極端に少ないため土地は乾いている。しかしこんな環境がケッパー栽培に適しているというのだ。

ケッパーとは、フウチョウボク属にぞくする低木の木の蕾を収穫して、塩漬けにしたもの。パンテッレリア島で収穫されるケッパーは世界でも最高品質と言われている。

私達はサルバトーレ、通称トト、という生産者を訪ねた。

「収穫したい?いやいや、見ているだけの方がいいんじゃない?疲れるよ。」

収穫を手伝いたいという私たちへのトトはこういう。

ケッパーの収穫は朝5時から始まり12時近くまで続く。ケッパーの木は低木のため、収穫するには膝をつき腰を曲げ、手で小さな蕾を一つずつ収穫していく。非常に忍耐力が高い仕事だ。トトはこの道50年以上というベテランのケッパー農家。右手、左手、それぞれにケッパーを収穫してくその手は、まるで機械のよう。両手を使って収穫する慣れない私達の倍以上のスピードで収穫していく。見事な手さばきだ。

私たちも黙々と収穫すること約1時間。強烈な陽射しの下で腰をかがめながらの収穫は、想像以上に大変なものだった。農業は憧れだけでは勤まらない仕事なのだ、、、と改めて感じるのであった。

ケッパーの収穫は7月下旬まであと1ヶ月ほど続く。
# by lacucinasiciliana | 2012-07-03 16:00 | シチリア・旬の食材