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秋のフィーキ ディ インディアはバスタルド(嫌なヤツ)?

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オレンジの季節になると終わりかける旬の果物、それは「Fichi d'India(フィーキ ディ インデディア)」。

フィーキ ディ インディアはうちわサボテンというサボテンの実でシチリアの晩夏~秋にかけてが旬の果物だ。サボテンの実だけあって周りにはたくさんのトゲをまとっている。メルカートで見かけるもののほとんどが既に大きなトゲは取られているが、まだまだ細い繊毛が残っているので決して手で掴んだりしてはいけない。木から捥ぎたての実には怖いくらいたくさんのトゲがついていて、それを取るために水に一晩つけなければいけないほどだ。

さてこのフィーキ ディ インディア、晩夏~秋が旬と言ったが、、、、自然に出てくる実の旬は実は6月頃なのだ。しかし6月のフィーキ ディ インディアは実も小さく硬く、そして甘みも少ない。最初の実が熟す前に棒で叩いて落とすと秋になる頃に第2番目の実が成る。これは実も大きくジューシーで甘みも強い。なのでこの2番目の実が成る頃が旬とされている。

2番目に成るフィーキ ディ インディア、シチリアでは「バスタルドゥーナ」、と呼ばれている。イタリア語で「Bastardo=バスタルド」と言えば「嫌なヤツ」とかいう意味だが、また何故こんな名前が??色々な説があるのだが、この間面白い話を聞いた。

ある初夏の日、田舎に住んでいる夫婦が喧嘩をした。あまりに怒った旦那が外に出て、そこにあった棒を振りかざし、

「Bastarda(バスタルダ)~~~!」

と叫びながらフィーキ ディ インディアの実をすべて叩き落としてしまった。

そしてその秋、実が落とされたフィーキ ディ インディアの木には立派な実が成っていた、、、、。そんなことから「バスタルドゥーナ」と言う名前が付いた。


本当かウソか、、、、は、さておき、その名前の由来はハッキリとしていない。

実にはたくさんのトゲがあり、中を割ってみると驚くほどの黒く硬い種がたくさん入っている、、、。しかし口に含んでみるとジューシーでそれはなんとも形容しがたい味がする。「スイカ」という人もいれば「柿」という人もいる。私にとってはスイカでも柿でもなく「フィーキ ディ インディア」の味だ。ちなみに種は硬くて噛み切ることもできず、いちいち出していたら食べている感じもしないため、実と一緒に飲み込んでしまうのが流儀。

こんなに恐ろしい食べ物を最初に食べた人に心から感謝したいものだ。
by lacucinasiciliana | 2011-11-07 17:48 | シチリア・旬の食材
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