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「シチリアのおうちレシピ」を応用する ~ほうれん草とパンチェッタのリゾット ブロードいらず~

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今日のお昼は昨日農民市場で見つけたほうれん草を使ってリゾットを作った。

これは先日出版した「シチリアのおうちレシピ」の54ページに載っている

「きのこと豚肉のリゾット ブロードいらず」

の応用編だ。

実は出版前、本に載せるメニューを選んでいる時、きのこ+豚肉か、ほうれん草+パンチェッタか、、、非常に悩んだ。どちらも同じく美味しいけれど、やはり日本で手に入りやすい素材を、、、という事で「きのこ+豚肉」に決定した。

ほうれん草は塩水で下茹でして、その茹で汁をブロード代わりに使う。そして、最初にパンチェッタを弱火でじっくりと炒めることでパンチェッタ自体が持つ脂身とコクを上手に利用するのがこのリゾットの最大のコツ。その他の工程はほぼおうちレシピと一緒だ。ただし、パンチェッタ自体、塩が強い事もあるのでほうれん草の下茹での塩分は少し控えめにするように気を付けたい。

本に掲載したリゾットで伝えたかった事は

「ブロードがなくても食材の使い方次第で美味しいリゾットが作れる」

という事。

本では出汁がでやすいキノコに豚肉を合わせ、ドライトマトで更に味を補った。今日のリゾットはパンチェッタそのものの持つコクと脂、そしてほうれん草を下茹でしたブロードを利用した。

色々出ているレシピ本では「野菜のブロード」とか「肉のブロード」と簡単に書かれているが、それを常備している人がどれほどいることだろうか?(私も常備なぞしていない。冷凍もあまり好きではない。)だからと言って、キューブのコンソメはなるべく使いたくない。そんな時は、

「食材の持つ旨み」

それを上手に使うコツを覚えると、料理の旨みの出し方が上手になるのではないか。

「シチリアのおうちレシピ」はそんな隠れヒントを色々と散りばめたつもりだ。レシピの行間を読むのも是非楽しんでいただきたい。
# by lacucinasiciliana | 2012-10-04 22:36 | 私の食卓

秋のアスパラガス

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昨日の日曜日、毎週日曜日はドミンゴ家でランチが定番だが、昨日はちょっと体調不良のため、私は家に残って静養。夕方、ドミンゴ家ランチから戻ってきたC氏、

「これ、父ちゃんからだよ」

と言って私に手渡してくれたものは、採れたてのアスパラガスの束と卵2ケだった。

先週ドミンゴ家を訪れた時、畑の端っこに藁がかぶさっているのを見つけた私。これ何??

「あ、そこはね、春にアスパラガスが生えるでしょ?アスパラガスって、本来春と秋が季節なんだけど、ここは水分が足りないから秋は生えてこないんだよ。そこでさ、今年は実験してみたのさ。水をたっぷりまいて藁をかぶせて水が蒸発しないようにしてみたら生えてくるのでは?と思ってさ。そしたら予想通り!たくさん育っているんだよ。」

先週の日曜日は収穫したばかりで、少ししか生えていなかったのを残念がっていた私。そんな私を見ていたから、、、かどうは分からないが、たくさんのアスパラガスをC氏に託してくれたのだ。

一緒に持たせてくれた産みたて卵2個からは

「これでフリッタータを作れ。うまいぞ。」

と、お父さんの声が聞こえてきた。

「まだまだ修行なんだよ。畑は一生勉強だからね。」

子供の頃から畑に触れて既に80歳を超えるお父さん。そんな謙虚な姿勢、そして大自然に敬意を払う姿勢にいつも頭が下がる思いだ。そんなお父さんに大いなる敬意を払いながらアスパラガスを頂こうと思う。
# by lacucinasiciliana | 2012-10-01 06:08 | シチリア・旬の食材

シチリア料理はどこの国の料理?

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日本到着6時50分。朝早くの到着だった今回の日本一時帰国。

初日、早速トウキョウの街を散策してきた。もちろん書店に並ぶ「我が子」を探しに、、、。銀座、東京駅周辺の本屋さんを周り、平積み&面出しで目立つ場所に並んでいる自分の本を見て一人ニンマリ。周りの人からは不審者と思われたかもしれない。

しかし、、、

一体「シチリア料理」ってどこの国の料理なのだろうか。

とある本屋さんではインド料理本のコーナーに、とある本屋さんでは家庭料理のコーナーに、中華料理の本の中に平積みされていたり、、、、と置かれているコーナーが本当にバラバラだ。もちろん「イタリア料理コーナー」に置いてくれている書店もあったが。

シチリア=イタリア

っていう認識がまだまだ広がっていないのだ、と実感した。

考えようによっては、イタリアンの枠を超えた「シチリア料理」という新しいジャンルが確立されるのでは?という解釈もできるが。それはそれで嬉しくはある。

実際、シチリア料理はイタリア料理とは一線を画すし、本の帯にも

「もうひとつのイタリアン」

まさに、こんな表現がぴったりなのかもしれない。

考えてみれば「シチリア料理」は、アラブの血を色濃く引き、それがノルマン、アラゴン(スペイン)、そして現代のイタリア、、、と言ってみればそれぞれの食文化を取り入れた混血な料理。「イタリア料理」という括りに入れること自体、疑問なのかもしれない。

上の写真は現在、代官山のTSUTAYAで開催されている「イタリア料理本フェアー」。食材とイタリア料理の本を一緒に展示販売している今までにない画期的なブースだ。私の初著書も中央の目立つところに置いてくれている。ありがたい。

「シチリア」は世間一般にはまだまだ知られていない土地。このブログをの読者の方々は信じられないかも知れないが、時折、

「シチリアってどこの国ですか?」

と聞かれる事もある。

この本をきっかけに「シチリア料理」に興味を持ってくれる人が増えたら嬉しい。いや、そんなハードルの高いことは言わない。シチリアがイタリアの中にある、、、という認識が広がったら、、、更に、まずはシチリア自体に興味を持っていただけたら、それだけで今回の本を出版した意味があるのかもしれない、などとふっと思ってみた。

<お知らせ>

書店巡りをした翌日、講談社の編集者S氏から大きなプレゼントを頂いた。それは、、、

「重版(増刷)決定!」

の知らせだった。
発売後、たったの3週間での重版決定。レシピ本の世界では重版すら珍しい事なのに、3週間での重版決定とは、まさに快挙!だったそうだ。この場を借りて、アマゾン、書店で本を購入して下さった皆々様に心より感謝を申し上げたい。
# by lacucinasiciliana | 2012-09-26 05:10 | シチリア料理本出版

ジャパンイタリアトラベルオンラインに「シチリアのおうちレシピ」を紹介。

ジャパンイタリアトラベルオンラインに「シチリアのおうちレシピ」を紹介。_f0226106_15433287.jpg


隔月で寄稿しているジャパントラベルオンライン「シチリア”食”の旅」。今月は特別号として8月に出版した「イタリアで一番美味しい家庭料理 シチリアのおうちレシピ」の出版記念号を書かせてもらった。


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(本文より)
2005年、シチリアに住み始めて早7年が経ち、、、2012年8月24日に講談社より「イタリアで一番美味しい家庭料理 シチリアのおうちレシピ」を出版致しました! 私がシチリアに住む7年間で、色々なマンマに教わった「シチリア伝統家庭料理」の集大成です。いつもは食材についてお話しているこのコーナーですが、今日は出版を記念して「シチリア料理の特徴」についてお話したいと思います。

●太陽の恵みを浴びたシチリアの食材を使いこなす
「シチリア料理の特徴」というと皆さん何を思い浮かべますか?圧倒的に多いのが「シーフード」だと思います。確かに新鮮なシーフードが食べられるのはシチリアの魅力ではありますが、私は本当のシチリア料理の特徴は「シチリア食材の使い方」にあると思っています。

続きはここから。


「シチリアのおうちレシピ」は下記サイトでも紹介していただいた。心より感謝を申し上げたい。

■お菓子とパンのサイト「パナデリア」
http://www.panaderia.co.jp/bookrecommend/book_sicilia/index.html

■451Booksのブログ「くるくるbookダイアリー」
http://blog.livedoor.jp/yuki451/archives/51836698.html
# by lacucinasiciliana | 2012-09-26 05:09 | シチリア料理本出版

パッシート用のブドウZibibbo(ズィビッボ)を食す

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先日ブドウ農家から差し入れを頂いた。

「今、Zibibbo(ズィビッボ)の収穫をしているんだよ。美味しいから食べてごらん。このブドウはね、ワインを造るように栽培しているけれど、食べても美味しいんだよ!」

Zibibbo(ズィビッボ)はアラブ語で、イタリア語名はMoscato d'Alessandoria(モスカート ディ アレッサンドリア)。つまり

「アレッサンドリアのマスカット」

アレッサンドリアはエジプトの都市で、きっとこの辺りで生まれた品種なのでは、、、?と言われている。

このブログでも何度か紹介したパッシートは甘い甘い甘美なデザートワイン。干しブドウを醗酵中に加えながら造るというちょっと変わった作り方をする。

zibibboの粒はワイン用のブドウとしては中ぐらいの大きさ。このブドウ、食べてみると、、、甘い。普通に食べている食用のブドウよりはるかに糖度が高いのがよく分かる。そしてちょっと厚めの皮と実の間が特に甘い。(皮が厚いからこそきれいな干しブドウとなるのであろう。)口の中で皮を噛んでいるとジュワーっと甘さが口の中に広がっていく。甘いのでたくさん食べるタイプのブドウではないが(もちろんイタリア人はモグモグとたくさん食べているが)、このブドウをデザートワインと合わせても美味しいだろう、、、と思わせるほどの糖度の高さだ。

先日、農民市場では「Inzolia(インツォーリア)」と書かれた札のブドウを売っている農家が数軒あった。Inzoliaはトラーパニ地方を代表するワイン用のブドウ。7月から出回るブドウだが普段は食用として売られることはない。ワイン用ブドウを収穫する時だけに味わえる極々短い旬ものだ。

ワインを造る品種のブドウそのものを食べてみる事は、ワインを知る上での必須な事のように思う。なぜなら、ワインになる前にブドウの段階でその持ち味というものが感じられるからだ。そこからどんなワインになるのか、、、それは生産者の思惑により星の数ほどの違う味わいのワインが生まれるのだが。

現在トラーパニでは白ブドウの収穫はほぼ終わり、黒ブドウ(赤ワイン用のブドウ)の収穫真っ最中。ワイン用の黒ブドウは食用のブドウとしては適さないものが多いが、これもまたつまみ食いしに行ってこよう。
# by lacucinasiciliana | 2012-09-10 15:31 | シチリアの畑から